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「お菓子の家 〜un petit nid〜」凪良ゆう/葛西リカコ(作品No.18)〜共同祭り☆BLトラベラーのみずほさんと凪良ゆう作品コンプを目指す


冬が嫌い。すぐ夜になる。
夜が嫌い。すぐ僕を隠す。

隠れてなんかいないのに、いつもと同じにここにいるのに、誰も僕を見つけられない。
だって、僕は黒い野良猫。

野良ってのは、「どっかいけ!お前なんかいらねーよ!」って意味らしい。
望まれてない存在だってことを、人はわざわざ野良と名付けて自覚させ、あまつさえ石をぶつける。
だったら、僕は黒くてよかったのかもな。望まれないどころか、在ることさえ誰も知らないもんな。
でも、だったら、どうして生まれてきたのかな。


家ってなんだろ。洩れてくる柔らかな窓灯りを、闇内から見上げたことしかない。
お菓子ってなんだろ。昨日も今日も飢えている、ご飯さえろくに食べたことない。


ある日、「家」の扉が開いて、中からでっかい男(ひと)がでてきた。
男は僕に声をかけ、甘いお菓子を一つくれた。
闇夜にとける僕に気づくなんて。宝石のようなお菓子を僕にくれるなんて。

騙されるな。こんなステキなもの、タダでくれるなんてありえない。
僕だって、相手を傷つけてでも、欲しいものは奪いとってきたじゃないか。
そう思うのに、僕は今日もあそこへいくんだ。あの男のいる、キラキラ輝くお菓子の家に。


見るだけだから…と、どんなにそっと近づいても、でっかい男はすぐ僕を見つける。
見つけて、いつもお菓子をくれる。まるで、待っていたかのように。

あ〜あ、今日も見つかっちゃった。   …見つけて くれた…。


だから、ちょっと油断した。明るい陽の差す公園で、子供(ひと)に姿を見せちゃった。
もしかしたら、僕を探してくれる人もいるのかなって。

叩かれて、蹴られて、血を吐いて。
どうやら僕は死ぬらしい。
薄れていく意識の中で、もう一度見たかった、ほしかったなって思ったのは、お菓子の家じゃなくて、そこで会えるでっかいあの男だった。
一度ぐらい撫でてほしかったな。あの、あったかそうな大きな手で。


気がついたら、僕はお菓子の家の中で、でっかい男に抱っこされてた。
男は何度も僕を撫でながら、心配した、探した、これからはここで一緒に暮らそうと言った。

痛む体を起こしてあたりを見回すと、家の中はちっともキラキラしてなかった。
薄暗くて、狭苦しくて、しんとしてて、匂いだってあんまりしない。
おまけに、男の作るご飯はお菓子のように甘くもなくて、綺麗に飾られてもいない。
でも、あったかい、僕のためだけに作ってくれたご飯。



あったかいな。もう、お前がいなきゃ眠れない。

僕をぎゅっと抱きしめながら、昨日、ベッドで男が言った。
ほんとうに?僕がいるとあったかいの?いてもいいんじゃなくて、いなきゃ、ダメなの?

そっか。これが「家」なんだね。
1人でいても、心がぽかぽか。2人でいれば、全部ぽかぽか。

男の腕の中で、僕は、ないた。




冬が好き。撫でてもらうのがいっそう嬉しいから。
夜が好き。どこにいても、僕を見つけてくれるから。


僕はもう野良猫じゃない。僕は、クロです。






                            
                                                

                           *
        
※今年最後のマジガチ感想・ポエム仕立て ^///^ でお送りいたしました。
鳴いた。泣いた。啼いた。 日本語は面白いですね。


次ページはイラストチェックとイメソン、ちょっとだけ感想補足です。



 
大事なものはひとつでいい
リストラされた加瀬は、強面なパン屋の店主・阿木に声を掛けられ、バイトをすることに。無愛想で人との付き合い方が分からない加瀬にとって、店の温かな雰囲気は馴染みがなく、戸惑うばかりだった。けれど火事に遭って阿木と同居することになり、彼の優しい手にどうしようもなく惹かれていく。優しくされればされるほど阿木に依存してしまい、溢れそうになる感情に加瀬は……。



今回はカラーとカットをご一緒に
◆イラストチェック/葛西リカコ アート派                                
カラー★★★★ カット★★★★
今年に入ってのリカコさん画はすごい…とつぶやかずにおられんよ(笑)
特に今作は難しい作品だっただけに、感動もひとしおです。

難しいといっても難解というわけではなく、「夜明けには優しいキスを」のスピンオフということで、別絵師様によるキャラ画が過去に存在しているという、絵起こし的に難しい作品なのですねー。
通常なら同じ絵師様で…となるところですが、出版社が変わってのイレギュラースピンオフなのでこのような高いハードルが^^;
前作絵師様・高階さんカットでの加瀬は超オレ様攻(しかも1枚だけ、笑)、そのイメージを追随しつつ、今作のヤンデレならぬほぼヤンヤン受もイメージ表現しなければならず、絵師様のご苦労は尋常ならざるものだったと思います。
でもって、前作を知るわたくし、今回の加瀬に何の不満もございません。トレビアン☆

                           *
この絵師様と初めてお会いした作品は、「盗っ人と恋の花道」でした。正直、色々と発展途上…とは思ったものの、惹きつけられる艶に抗えずの新刊即買いでございました。
以後、注目レーター様として絵師買いしておりましたが、ここ最近は「絵師買い」ではなく「表紙買い」となっております。
今作も、抑えた色調と読者無視(笑)の2人だけの世界度が、原色渦巻く新刊平台の中で素晴らしく光っておりました。

ここ最近のすごさは、絵師様の自信=絵に迷いがないことから来るものではないかと感じます。

他者の作品精神を表現する「挿絵」は、オリジナルアート派(オリキャラによる1枚キメ画タイプ)絵師様にとってはかなり怖いお仕事に思われます。
真摯にお仕事するあまり、表情とかアングルとかアートにあまりご縁のない「変化」に囚われてしまうと、これまで築いてきてものまで変化させようとしちゃうことがあるのですね。
そして、芸術において「意図的な変化」はあまり良い結果を生まないのでございます。

不変不動の心軸があって初めて変化はおとずれると、この絵師様の変化を見ていると実感いたします。以前と変わらぬ透明感に加え、以前にはなかった凛とした強さが感じられるものね。
成長とは、進化する変化なのだなあ。

きっと今、絵師様はお仕事が、絵を描くことが楽しいと思う。そうして生まれた絵は、見ている人も楽しくするです。
こういうことが伝えたくて、「イラストチェック」を長らく続けてきたのだと、しみじみ思いました。
書かせてくれて、ありがとう。


◆マジガチ感想プチ補足                                         
わたくしのお伝えしたかったことは表感想に込めましたが、蛇足な補足をちょっとだけ。

凪良祭りクライマックスは、「お菓子の家〜un petit nid〜」(作品ナンバーNo.18)を選ばせていただきました。
今作は、「夜明けには優しいキスを」(感想はこちら★)に登場し、あまりに不憫に撤退していったお気の毒DVオトコ・野良猫クロこと加瀬くんの救済作でございます。
正直申せばツッコミどころもなくはないが、ポエミーマジガチを書きたい気持ちの方が強かったw
とても、咀嚼し甲斐のあるお話でした。

                          *

大事なものはひとつでいいと思う加瀬。

彼が好き。彼しかいらない。彼こそたったひとつの大事なもの

でも、本当は、加瀬の大事なものはもはやひとつじゃないんだよね。
クロ、里央、知世、仕事、人を守った傷(あかし)、表札、
阿木と暮らしていくうちに、これからもどんどん増えるでしょう。

大事なものはたくさんあっていいって、いつになったら気づくのかな、ホントはもう気づいているのかな、などと考えながら本を閉じるのはとても楽しゅうございました。


美しいお菓子の家は、うっとり眺めている限り、いつまでも外にいなければなりません。
家をおうちとも呼ぶのは、内(うち)に入ってこその家だからと思います。


心の内に。貴方の内に。


おててつないで、おうちにかえろう。大事なものが、いっぱい待ってる。



◆イメージソング                                             

           

いつの日か  あなたの腕の温もりに  包まれて眠る夜…

ぶわああああ(இдஇ`。) 加瀬(クロ)、幸せにおなりーっ!







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[小説・作家名な行]凪良ゆう | comments(2) | - |

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Comments

◆ゆOO様
長期にわたるお祭り企画にお付き合いして下さって、本当にありがとうございます♪

どの記事もすごい時間かけて書いてる(というかかかっちゃう)んですが、時々「意味あるんだろうか、こんなこと…」とか「どうせ自己満足なんだし、ここまでしなくたっていいじゃないか」と不安になって集中が途切れちゃうことがままあるのです。
そんな時拍手ポチいただいたり、楽しかった、待ってます等の嬉しいお言葉をかけていただくと、震えるほどありがたくて励まされて、よっしゃー!もうちょっとガンバロー♪と思えるのでございますが、ゆOO様がお声かけくださるタイミングが毎度絶妙><。本日も励まされました、ありがとうございます!!

「お菓子の家」感想はお祭り企画が持ち上がる前から、こんな風に書く!と決めてましたが実現できるかどうかわからんかったんだなー。
無事カタチにできてほっとしました、今企画なければ脳内だけで終わってたと思います、ありがたや☆


>ヤコ先生
もうびっくりだよね!!!じゃあじゃあヤコ先生とお付き合いしてた時のトキオってどっちだったんだよ!と、もう気になって気になって…www
謎深めすぎでしょ、凪良センセ!
スピン予定ないですか?!ええー、全ての謎を明らかにしてくれよ、徳間さーん!

comment by: miru-ha | 2012/12/06 15:08
■うOら様
おおお、お久しぶりでございます〜(*-ェ-(-ェ-*)oぎゅぎゅっ♪
年の瀬を迎えますますお仕事お忙しいと思いますが、お風邪など召されてませんか?ここ最近急激に寒いものね、お気をつけ下さいね。

でもって、嬉しいお言葉ありがとうございます♪そうなの恥ずかしながら自作ポエムなの(笑)

このクロちゃんに感じていただいたのと同じ思いを、わたくしも本編で感じましたとお伝えしたかったのですが、伝わるかどうかがとっても不安だったのです、お言葉かけていただいて嬉しい〜っ。゚(゚^ω^゚)゚。
本編既読の方に通じる暗喩というか、含んだ表現もちょこちょこ混ぜ込んでますので、機会がございましたらぜひ本編をどぞです♪うOら様にはきっと、このような形にしたもう一つの意味も気づいていただけると思う…(笑)


>トーマの心臓小説編
わははは、わかるわかります!でも同じ思いを抱いた人は結構多いのではないかと思います。発売前と発売後の反応の大きさが全然違ったもん(笑)


>カーニヴァル
うふふ、いよいよ動いちゃいますねー(о´艸`)
あの、サーカスワンダーな華やかな世界、作画屋さんと色指定さんの腕の見せ所ですよね♪うOら様のお眼鏡にかなったなら間違いないですね!おおお、楽しみ♪

でも、どこまでアニメ化されるんだろう、黒白は出てくるよね?←べ様の小さい「ん」待機(〃'∇'〃)エヘヘ


comment by: miru-ha | 2012/12/07 15:43

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