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BLCD感想記 「シナプスの柩」  

      

  
◆「シナプスの柩 I」
■原作: 華藤えれな   ■イラスト: 佐々木久美子
■キャスト: (樋口洋一郎) 小西克幸×野島健児 (桐嶋水斗)
千葉一伸 (海堂)/うすいたかやす(長山教授)  / 前島貴志 (小笠原)/ 加藤将之 (沢井主任)/ 田坂秀樹 (研修医)/ 高田べん (桐嶋豊)/ 世戸さおり (院内放送)
■発売日: 2007年07月25日   ■発売元: サイバーフェイズ
■脚本: 月原真 ■演出: 鈴本雅美 ■音楽: 宮本空 ■音響効果: サウンドボックス 

◆「シナプスの柩 II」
■原作: 華藤えれな    ■イラスト: 佐々木久美子
■キャスト: (樋口洋一郎) 小西克幸×野島健児 (桐嶋水斗)
千葉一伸 (海堂)/ うすいたかやす (長山教授)/ 加藤将之 (沢井主任)/ 前島貴志 (小笠原)/ 高田べん (桐嶋豊(父)/ 藤原美央子 (桐嶋(母)/ 中川慶一 (塚田)
■発売日: 2007年12月25日    ■発売元: サイバーフェイズ
■脚本: 月原真 ■演出: 鈴本雅美 ■音楽: 宮本空 ■音響効果: サウンドボックス 

■小説版あらすじ・上巻
両親を亡くし、大学三回生の時に天涯孤独となった桐嶋水斗は、日本心臓外科界の権威である長山の援助を受けて医師となった。だが、援助の代償に長山の下で働くことと躰を求められ続けていた。長山から逃れたいとの思いが募る日々の中、NYから敏腕外科医の樋口が赴任してくる。彼の天才的な医療技術に心酔した水斗は技術を教えてもらうことになり、いつしか樋口に惹かれていくが―。

■小説版あらすじ・下巻
外科医の桐嶋水斗は、副医院長の長山に躰の関係を強いられていた。一方で同僚の樋口へ想いを募らせていった水斗は、長山の呪縛から逃れられないことに絶望し、病院の窓から身を投げる。運良く一命をとりとめたものの記憶を失い、幼児退行してしまった水斗。そんな水斗を育てることを決意した樋口と北海道に移り住み、穏やかな日々を過ごしていたが、長山の影が忍び寄り…!?書き下ろし続編も収録し、衝撃のメディカル・ロマンス堂々完結。


今年に入って、サイバーフェイズ、インターコミュニケーションといったCD制作会社の倒産の一報を立て続けに聞いております。今まで聴かせていただいたCDでどれほど楽しませていただきましたことか。なのにわたくしったら何もしてこなかったよ…。 
制作会社様はもちろん、名作をご紹介&レンタルして下さった萌え友様にもご恩返しもできないまま本日まで来てしまい、忸怩たる思いでいっぱいです。

何ができるってわけでもない&今さら遅いか…とは思うのですがやらないままでいるよりはいいと信じて、絶版になってしまった名盤CDのキキミミ感想を、サイバーフェイズさんとインターコミュニケーションさん制作盤で1作づつUPさせていただこうと思います。


本日は、サイバーフェイズ制作・華藤えれな嬢の傑作とホマレも高い「シナプスの柩」を、原作未読状態(=純粋なCDのみでの感想)でがっつり書かせていただきます。


 

    

これは、すごい…。
これほど吸引力のあるCDが存在するのですねぇ…。


魔物に囚われた哀れな姫を王子が救い、そして2人はいつまでも幸せに。

BLに限らず、古今東西のロマンスの典型です。
このお話もその例にもれず、現代医療界を舞台にはしていますが、ロマンスの黄金律をしっかりと踏襲しています。
が、原作者のえれな嬢は、このお話で、「『ロマンス』で幸せになった2人」を描きたいのではなく、「ロマンス」が人として生きるためにどれほど大切なものかというアプローチから黄金律を描こうとしているのだな、と感じられるのです。

このCDは「機廚函岫供廚裡暇腓粘扱襦◆岫機廚シーン5、「供廚シーン6までで構成されていますが、主役の受け・桐嶋水斗が年相応の外科医・「水斗」であるのは「機廛掘璽鵤海泙如■海僚わりで水斗はなんと窓から飛び降り自殺してしまい、命は助かるものの、幼児退行した「ミナト」(←子供水斗を便宜上カタカナ表記します)になってしまうのです。

主役が飛び降り!しかも序盤にっ!!

そしてここからがこのお話の真のスタート、CD2枚の4分の3を使って作者様が描きたいのが、先述した「人として生きるためのロマンス」なのでございます。

                          *

一命を取り留めた水斗は、肉体的には何の損傷もないながら、精神的には幼児退行で過去の記憶を一切失ってしまいます。26,7の大人の体を持ちながら知能…というか、知識が3歳ぐらいになってしまう、美貌の受け。これはなかなか…。

攻め・樋口は「ミナト」を引き取って、郊外のコテージで一緒に暮らし始めます。
水斗を弄んだ長山教授へ一矢報いるため、学会で戦う準備をしながら、「体は大人、頭脳は子供」な逆コナン状態のミナトの育児でへとへとになる樋口。ほんとの育児を知っている方には「幼児」描写も含めて物足りない感も無きにしも非ずですが、そこはそれ、現代お嬢様☆えれな嬢だから許せちゃうっていうか(笑)

愛した姿はそのままに、心だけが子供になったミナトを育てて面倒をみる。
ただの育児とは事情が違います。子供になってしまった原因(飛び降り自殺)の一因(主因?)でもある樋口には何とも残酷な毎日です。

「水斗」は自らを消すこと=自殺を選びますが、自らを消すだけでは自殺は終わりません。彼を大事に想っていた親しい人の魂も遠巻きに死なせてしまいます。自殺とは、ある意味、他殺でもあるのです。
樋口は半分死んだ己の魂を叱咤してミナトを育てます。半分を失うだけで済んだのは、生きた「ミナト」がまだここにいてくれるからです。
が、失った胸の痛みをミナトが軽減&補完してくれる…などの安易な描写をえれな嬢はいたしません。樋口がミナトから受け取るものは、水斗からは与えられなかったものなのです。

以前とは違うもので満たされつつある器。育つ愛。

目の前の人物が水斗でもミナトでも、もはやどちらでも構わない、というか、どちらも必要なかけがえない愛であると悟り、ミナトと「一つになる」までの樋口の苦悶と葛藤、小西さんの演技があまりに素晴らしくて、苦しい心の吐露の連続でありながらうっとりと聴き惚れてしまいます。

今まで、小西さんボイスでついつい連想するのはないじぇるでしたが、このCD聴いている間はまったくないじぇるを思いだすことはありませんでした。(他作品ではちょっと思い出しちゃったりしたのだった、笑)
「天才外科医」である「オレ様」を自らに強いてきたが、実は寂しい1人の人間・樋口を、小西さんは見事に演じておられます。喜怒哀楽のはっきりしたキャラよりも、迷い悩み、ひっそりと囁くような役が小西さんボイスにはぴったりではなかろうかと、背筋のゾクゾクする「供廛掘璽鵤押Γ隠科20秒「…ミナト…」を聴きながら感じたのでございました。←聴いた人だけ分かる「ここかよ!」ポイント

                          
一方、ミナトは欠けた自分=過去の存在を徐々に自覚していきます。

この作品の特徴は、タイトルにシナプスと冠する事からも察せられるとおり、脳に刻んだ「記憶」の扱い方です。
通常、記憶喪失ものでは何らかの大きなショックがあった時にイッキに記憶がよみがえるものですが、本作では、ミナトは夢の中で「あの人」と呼ぶ水底に眠る男と出会い、対話する事で少しづつ過去を知っていきます。それが過去だと知らないままに。
思わぬ事実の発覚に、そうだったのか!と愕然とするのは、ミナトから話を聞かされる樋口(と読者)だけ、しかもミナトを通じて、樋口の伝言を「あの人」に伝えることだってできるのです。こうなると記憶喪失というよりは、「別人格」の方が近いかもしれません。
だとすれば、記憶を取り戻すことでミナトと水斗が融合して第3の人格になってしまうことだってあるかもしれないし、ミナトか水斗のどちらかが完全に消えてしまうことだってあり得ます。
つまり、失った記憶を取り戻すことで「桐嶋水斗」という人物が帰ってくる保証はない、さらには「桐嶋水斗」とは誰なのか、それを決定づけるものは他人の認識か自己の認識なのか、ひいては「幸せな未来」とはどういった未来を指すのか、読者(聴き手)は否が応でも自問しながら、ドラマを聴き続けることになるのです。

ありえないフィクションと分かっていながら、惹きつけられてやまない。これぞえれな嬢の目指す、ドラマティックエンターテイメントでございましょう。異国譚とはまた違った、えれな嬢の魅力が卍解です。

                           *

このストーリーで最も美しいとわたくしが感じたエピソード、先にも触れました、心の水面に映る「あの人」(隠れてしまった水斗)とミナトが対話すること、ミナトがそれを樋口に伝えるところです。

「『あの人』はね、洋ちゃんのことが心配で眠れないんだよ。」

無邪気に、他人事のように、水斗の隠された心を語るミナト。
野島さんの演技が、大人であり子供であるミナトの存在をすんなり信じさせてくれ、このエピソードに一層の深みを与えます。

「『あの人』は…、元気、だったか…?」
ミナトにたずねる樋口の震える声。それはもう切なくて苦しくて、涙なしには聴けません。

この後、ミナトは?水斗は?樋口は? 
ほぼ役者の1対1、BGMや効果音などが微かにしか入らない中での迫真の演技で、まるで映像を伴うかのごとくシーンや表情が脳裏に浮かび、えれな嬢の描くドラマティックで切ない世界に難なく耽溺出来るのです。



隠された真実の明かし方も実に巧みです。

樋口と水斗の過去、「自殺」に潜む謎、「復讐」の結果、「あの人」の正体、記憶を取り戻すことの是非。

これらを踏まえ迎える怒涛のラスト、「幸せな未来」を聴き手(読者)に委ね想像させるために、明らかにすることと伏せたままでいることのバランスがこれまた素晴らしい。

この作品は、ストーリー上では「水斗」の再生を通して語られるサスペンス、テーマ上では「樋口」の再生に重きを置いたヒューマンドラマと、人が半身と半心を求める様を恋愛を通じて描いた二重構造の高度なドラマティックロマンスです。これぞ創作の妙、フィクションの世界に遊ぶ醍醐味でございます。

えれな嬢の現代ものはあまり惹かれたことがございませんでしたが、この作品の持つ煌めきを文章でもぜひとも確認してみたいと思いました。
そしてこのCDは、原作の魅力をとことん煮詰めて結晶化した名盤と思います。「BLCD」と呼ぶことで聴き手を制限してしまうことが実に惜しいです。

いや〜、本当に良かった 



次回は、インターコミュニケーション様の制作された名盤の感想をお送りいたします。





※ここから下は、ちょっとだけツッコミです。
反転しておきますので、気にならない方だけお目通しをね☆

 ァ嵌かにしか入らない効果音」、と感想中に書きましたが、唯一はっきりくっきり聞こえる効果音がございまして、なんとそれがファスナー音なのですよね(笑) 
もちろんナニをいたす前に発する音なわけで、この作品の性質からすると本来笑っちゃいけないシーンなんですが、毎度毎度(3〜4回でてくる)、あまりに大音響で「ジーーッ」と。(ぷっ) 
この後ご披露されるであろうイチモツのご立派さを暗示させる、などの狙いでこうしちゃったのでしょうか、ワハハ♪

◆ 屬曚棕餌丕院廖△抜響枌罎暴颪ましたが、王道ロマンスですから当然「魔物」役=長山教授がおります。でも、このヒトがどうにも汗臭いおっさんでぇ…f(^^;)
8年間も美貌の受けを思い通りにしてきた悪の帝王(?)なんだから、もうちょっとイケた狡賢いおじ様キャラとボイスで攻めたほうが、えれな嬢ワールドにふさわしい気がするんだけども…。




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[腐海航海記]BLCD | comments(2) | - |

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Comments

■ゆOO様
CD無事入手できましたか?
私も現在CDを聴く時間が本当に取れなくて最後の手段で通勤時間にコレ聴いたんですけど、始めの3シーンは(水斗が飛び降りるまで)はまだしも樋口とミナトのセンシティブシーンはとても公共交通機関内で聴いてはおれず(恥ずかしいというよりじわじわきちゃって、ハタからみたら『失恋レストラン』?笑) 結局睡眠時間を削ってベッドの中で聴きました。
翌朝、またもおてもやんでした。


>最新同人誌
えええ!!「白い馬」海棠先生のお話だと〜っ!この人とっても気になってたの!
感想には書いてないんだけど、本編中、海棠先生がいなかったらかなり分かりにくかったろうなって感じたシーンがいくつかあって、脚本アレンジがいいのかえれな嬢の海棠の使い方そのものがいいのかCDだけでは判断できなかったので、原作を読んだ時に確認しておこう、と思っていたのでした。

余談ですが、もし私が「ミナト」と出会ったら、「小太りのシーズー」とか言われちゃうんだろうか、とちょっと感じました(笑)
comment by: miru-ha | 2010/12/08 19:51
■わOO様
えええええ、後日談だと〜ぅ?!
CDはここで終って正解だと思うけど「後日談」は聴くより読みたいよね、あ〜、今すぐポチってしまいそうf(^^;)

>神官
虹の神子がお守りあそばします我が侈才邏国へようこそおいでくださいました♪
高永ひなこ嬢のイラストを追っかけていて出会った珍名作でございます。らごらごの年齢不詳の物言いに素晴らしいナレーション、冴紗様のど派手な傾国ぶり、毎度の(むりやり)公開H、なんもかんも楽しゅうございましょう?(わはは♪)

私もCD付き新刊買いました。なんと大胆なおまけ企画!…と感心していたらインターさんがご倒産で、なんだかファンへの置き土産のような気がしてちょっと泣けました。

>キャスト
すご〜い、らごらごって「銀魂」土方だったんだねっ、イメージばっちり!!
でもって冴紗!!わはははははは、まさかまさかのゴリだったなんて!!
いやはや、おっしゃる通り声優さんってすんごいわ☆ どんなことでも「プロ」ってかっこいいですね(≧∇≦)

comment by: miru-ha | 2010/12/08 19:57

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