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「恋愛革命」 海賀卓子/葛西リカコ

◆あらすじ
池畑虎之介は顔を出そうと駆けつけた飲み会で意外な人物に会う。昼間バイト先で彼女と別れ話をしていた男だった。彼、坂口瑞希は幹事である結の兄で虎之介を待つ間に呼ばれたらしい。完全に酔い潰れた瑞希に散々な目に遭わされた虎之介は、二度と会うことはないと思っていた。だが数日後、彼は姿を現しバイトを持ちかけてきた。携帯を預かるだけで一日二千円。苦学生の虎之介は断り切れず引き受けるが…。

◆帯コピー:
 プライドが高くて臆病
 さびしがりのくせに、人見知り
 そんなのことが、なんだか気になる―。

※新刊はできるだけ帯コピーも注目していくことにしました。各社で個性があるので面白いのです。
 今回は、色・フォントの大小・改行・すべてオリジナルどおりです。

わたくしがこっそり(バレバレだっつの)ストーキングしている、腐界の御賢姉様の某所でのコメントがあまりにステキだったので、速効お買い上げして読みましたところ。
今年度4作目のマジガチモードになってしまいました。
これは、通常テンションでは書けない…。

よって、本日はイラストチェック→イメソン→次ページでマジガチ感想の順でお送りいたします。
書きたくて書いた感想ですが、かなりうざいわポエミーだわ、おまけにネタばれしてるくせに大したこと書いてないので、感想だけ次ページに折らせていただきます。

 

◎イラストチェック/葛西リカコ(アート派)
カラー★★★☆
作品とお絵柄が非常によくあっております。
右下隅の携帯の少々のネイビーブルー(読んだ人だけがニンマリできる差し色)以外、ほとんどモノトーン(白基調)の表紙ながら、これには意味があるのでこれでばっちり☆良いお味です。人物2人しか描かれないのも「恋愛」は当事者2人の事情なのだからこれで良いのです。

口絵が表紙と転じて黒基調のモノトーンなのも、なるほど♪です。
「色とりどりの花火」に照らされたのなら本来は照り返し部分にも若干色がつきますが、これはイラストなので、表紙絵や作品の持つ空気を考えれば下手に色などのせないほうが良く、これまたグッジョブです。
ただ、ここまで色を排除したのなら、描いてほしかったのよ!「白いOO」を!
ほかほか肉まんのユゲみたいのじゃなくて、淡くひっそりとね。

わたくしこの一文にとても感激したので、そこを抜き出してくれた口絵がたいそう嬉しかったのです。
だからこそ残念さがやや強め、その他人物そのものがカットに比べるとちょっと見分けにくいってことで合わせてマイナス0.5☆、計3・5です。


カット★★★★←ちょっとおまけ
人物は若干不安定ですが、今まで見た3作の中では一番ステキです。

アート派(1枚絵・キメ絵中心の人)&センシティブなお絵柄なので、カラーでも申しあげた通り、今作のような心骨削らんばかりに真摯な恋愛作品との相性はばっちりです。
喜怒哀楽の感情(表情イメージ)を、ある程度読者におもねるほうが、この作品のアシストになります。
ちと戸惑ったのは、攻めと受けに10歳の年齢差があるとは思えなかったところですが、この作品では(イラスト登場人物が)この2人と妹しかいないので、受け攻めの区別がつくなら本編理解としては十分です。
ただ、多人数(多人格)が出てくる作品ではここがネックになるのは間違いないので、主役クラス(20代男子)の人物の描き分けは今後の最重要課題ってところでしょうか。
結構大きな課題ですが、カラーが辛めだったのと今作では影響しないってことで、カットはマイナスなしで計4・0です。


◎イメージソング
この作品のイメージソング、実はかなり難しかった…。
歌って9割恋の歌なのであっさり見つかりそうなんですが、この作家様が今回見つめる恋愛って、なんというか、歌詞の世界としては演歌が近いんですよね。でもそれはさすがにBLイメソンとしては…f(^^;)

ってことで、悩みに悩んで選びましたのは、こちら。
本当は綺月さんの「祈り」に当てようかと迷っていた曲ですが、あれにはもっと柔らかい光を当ててあげたいのよね…

    

ちょおっと骨太すぎるかもしれませんが、このぐらいのことは訴えてる作品と思います。
次ページの感想はお目通ししていただかなくともかまいませんが、この歌・この歌詞は…。
                      最後まで聴いてみて…



  ◎本編感想
骨太の保護者の方針で、弱冠二十歳で学費も生活費もすべて自分で稼がなければいけない、苦学生の虎之介。(今年は「虎〜」という文字を作品名でも人物名でもよっくお見かけするが、やはり干支のせいだろうか、笑)
彼のつましい節約生活は本当に(涙が出るほど)リアルで、親の存在などないかの如くエロ恋に明け暮れる昨今の学生BLとはイントロから一線を画す。
しかしこの後に続くのは、彼がバイト先で見かけた厄介な客が、大学の同級生の、しかも虎之助に猛アタックを仕掛けるちょっとブリっこ女子(←死語過ぎて新鮮、苦笑)・結(ゆい)の兄だったという、物語特有の「偶然から始まる運命」 

う〜ん、せっかく手応えありそうだったのに、ありきたりの出会いがちょっと悲しい。
おまけにこの兄というのが、まあ尋常な性格ではないとはいえ、美しさですべて許されてしまうようなBLテンプレ美人受けタイプの御仁である。
もうこの後、妹を挟んで厄介なことになるんだろうなと察しがつく。
予想できる展開にタイトル「革命」とは、当のご本人たちだけにしか分からない目からうろこを少々大げさに訴えているだけなんだよね?と、読み進めつつ穿ってしまう。
実際その通りではある。

が、それだけでもない。
「当のご本人たちだけにしか分からない、目からうろこ」 それを恋というのだから。



この作品では「人の手」がとても印象的だ。

携帯を操る指。
手料理。
手作りのマグカップ。
手書きの、……。
愛撫する掌、突き飛ばす腕、傷をなぞる指先、繋ぐ手と手。

そういえば、人が人を恋うて求める時、初めに触れるのは手だったな、と思いだす。
今は、体温を感じずとも、電気を使って変換する文字だけで人を恋うこともできる時代なんだよな、とも気づく。
この作品が真冬を舞台にしているのが、なんとなくわかる。(今が記録的猛暑なのは何とも悲運だが)


とはいえ、途中までは複雑な気持ちで読んだのだった。惹かれる部分とモヤモヤ部分が混在していたから。

ふと思い至った。
もし「男」が女だったら、結の姉だったら、この2人はどうなったんだろうかと。
この話の男と同じように女は悩み、でも結局は虎之助とうまくいくんじゃないか。結さえ祝福すれば問題ない。
10も年下の男を好きになってしまった29の女なら、うまくいった後もこの「男」と同じ悩み(いずれ若い女に目がいって捨てられるんではという危惧)は抱えるに違いない。
年下の男にしたって、子供だという理由で振られるのではないかとの不安から、変に大人ぶっちゃったりするだろう。(若ければ若いほどやりそうだ)

結局お互いが、傷つく前の予防線を張る。
もし他に好きな子できたら言ってよね とか、別れたい時はあとくされなく別れてやるよ、とか。
どちらももうちょっと素直になれば、もう一声話しかければ、余計なトラブルなど起きないだろうに、当事者にはそこがわからない。恋愛における沈黙は、金とは言えない。

案の定、「男」は別れを切り出す。
想像よりもずっと相手のことを考えたうえでの結論だったけれど、結局2人は別れる。

なんだ、これって結局「女」を「男」にすり替えた、いわゆる「身代わりBL」ではないか。
すり替えた人物像(アラサーの未婚女性)が多少変わっているが、これが男女間の恋愛なら、文学界ではあまた取り上げられてきた主題じゃあないの。
ここに気づいてしまえば、惹かれてきた理由に納得がいく。モヤモヤの原因もこれだったかと少々苦くすら思う。



が、P188でパリンと音がした。(様な気がした)
手書きのノートを見つけた件りである。

携帯やパソコンに保存したつぶやきではなく、メモに走り書いた書きとめでもない。
専用のノートを用意して、丁寧に書き残す行為。書いてある言葉。
あまりに饒舌な沈黙に、こちらこそ言葉が出ない。テンプレの美人受け?とんでもなかった。


決壊してしまった私の何かが(意地…とかですかね)、どんどんこの作品への愛を後押しする。

ここから先を細かく書くとこの作品の最も大切なものをぶち壊してしまうので、これ以上詳細には書かないが(本当はここからこそを語りたい)、ラスト1ページの男のいじらしさに本当に泣けた。
虎之介が別れ際に言ったあの一言を、男はずっとずっと繰り返して染み込ませて、自分を責め、嫌いぬいていたんだろうなと思い知らされるから。彼が男であるがゆえに。

だから、もっともっと声を聞かせて、沁み込んだ言葉を上書きしてやれと思う。
体温が上がるほどに、しっかり手をつないでやれと思う。
いもしない恋敵に負けまいと、震えながら吐息を交わす男を、折れるほど抱きしめてやれと思う。
年下の男は、きっとそうすると思う。骨太の保護者が、命をかけて彼をそういう男にした。(保護者の使命まで図らずも考えさせられた…どこまでも骨太)


恋愛は純粋な気持ちばかりではない。嘘もつくし、そこには欲も計算もある。←駆け引きとは違う
虎之介を見ていればわかる。(再アプローチを起こしたきっかけが、純だけど素でヒドイんである。ちょっと木原御大「美しい人」の寛末を思い出す残酷さというか…。でも虎クンのこれは若さだから、笑)

綺麗なだけではない心だから、やっぱり綺麗を見つけたい。
それが、苦みを伴う甘さになるのだとしても。(苦しさと苦さは同じ字を書く)


ほろ苦さを美味いと感じる大人向きの、同性間の恋愛小説。
この味を待っていたのか、と初めて気づいた。選び抜かれた作者の言葉が、気づかせてくれた。

これも革命。なるほど、きっと世界は、素晴らしい。






                                                                   〔絵師:葛西リカコ〕〔カット:★★★★〕          

   

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Comments

■まOO様 こんばんは♪

>手フェチ←なんて素敵な響き!
コミックでは結構おみかけするんですが、(BL)小説で「手」にしみじみするのは、私には珍しい体験だったんです。
文字通り「手練れ」のまOOさんならもっといろいろご存知ですよね、そういう特集も面白いかも〜♪

>「〜マリア」
とうとう落としてしまいました、一番進んでたんだけどあと一歩が、進まないんですよぅ…。
「祈り」も書きたいのに、困ったもんだ。

comment by: miru-ha | 2010/09/05 02:26

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