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連動コミック企画・マンガしりとり「む」
〜「ムーン・ライティング」三原順

■マンガしりとり・ルール
・第2日曜担当:わにこ 第4日曜担当:miru-ha マンガのタイトルでひたすらしりとる。
・必ず自分が読んだマンガとする。ジャンルは不問(雑誌・同人は不可)
・続けることが目的なので最後が「ん」でもよし。(例:「ドラえもん」⇒次回「も」)
・同上理由で 濁音・拗音は有る無しどちらもOK。(例:「しょうこうじょ」⇒次回「しょ」か「じょ」か「よ」)
・同作家の作品は各人1回ずつ。2回目は罰ゲーム

 ■前回までの流れ(題名ポチでブログを超えて記事にジャンプ)
「真空融接」→「月に狼」「ミルキーウェイ」「イティハ―サ「サラデナーサ」「櫻狩り」「リターン「探偵青猫」「この手でよければ」「パパがも一度恋をした」「太陽と月人」 「とめはねっ!鈴里高校書道部」「ファンタジウム」

今月もやってまいりました、『北の主腐から』・わにこさんとの連動コミック企画「マンガしりとり」、今回のお題は「む」でございます。

「む」…今までで一番の難題でございました…。
作品はすぐに決まったんですけど、まったく書けない…!
だって三原作品なんだもの、考えても考えても正解に辿りつける気がしないんだもの。白石一文や梁石日作品の書評を書く方がずっとラクです…。

私にとってのブログ感想とは、読後浮かぶ漠然とした想いを自分なりに見つめ掘り下げて、拙い語彙を駆使して「形」を与えていく作業ということになりますが、三原作品に限っては何も浮かんでこない、真っ白です。強いていえば浮かぶ想いは、「まだ足りない!もっともっと読まなきゃ感想書く資格なんかない!」という自責と焦燥でしょうか。それでも何とかひねり出してみましたが…。

大好きな作品なのに再読が出来ない。
そんなマンガは「はみだしっ子」と「BANANA FISH」だけです。リアルタイムで見つめていたからこそ、余計にそう感じるのだと思いますが、でもそれは幸運な事だったのですよね、きっと。
あの多感な10代にイッキ読みしてたらエライことになっていたと思いますから。


今回取りあげた「ムーン・ライティング」シリーズは、再読は可能ですがそれでも重厚すぎて軽々とは手を伸ばせない作品ではあります。しかもかなり特殊な構成をされている作品群なので、シリーズの相関説明だけでも膨大なページ数に。
なので、今回感想は文庫版「ムーン・ライティング」1話分だけの感想とそこから派生する作者様像、ぐらいにとどめておこうと思います。出来るだけ短めで。←それでも相当濃い作業 

そんなに書けないなら他の「む」作品にすればいいのでは?なんてことは、一度三原作品を思い浮かべてしまったが最後、決して実行できないこと、少女マンガ界の猶興の士たらんとされる皆様ならきっとご理解いただけると、わたくし確信しております。




 
「助けに来てくれディー!!」
差出人は美食家&空想家で学生時代からの親友、トマス・リブナーだ。更に手紙には「1/4に欠けた月の夜には来ないでくれ」と謎の言葉が…。疑問を抱きつつも彼の経営するレストラン『ムーン・ライティング』に車を飛ばすディー。あえて禁断の月の夜に乗り込んだ彼は、信じがたい友の姿を見ることに…!!
表題作「ムーン・ライティング」、その続編群「お月さまの贈り物」「ウィリアムの伝説」「僕がすわっている場所」を完全収録!奇想天外かつ綿密な構成の三原ワールドをご賞味あれ。

少女マンガを1冊でも読んだことがある二十歳以上の人間なら、「三原順」というお名前を聞いて心安らかではいられないと思います。
例えば、同世代御大・萩尾望都や大島弓子作品を読んで大感激・大感動しても、その思想や登場人物の行動が日常生活まで影響するような事はまずありません。←少なくとも私はなかった
火星を見て「還りたい」とは思わないし、肩甲骨は羽根の名残だと豪語して鉄棒から飛び降りたりもしませんでした(出典分かります?)

が、三原作品は違ったのですよね。絵柄をまねて描いてみるのはもちろん、語録(名セリフ集)をノートにまとめたり、暗記したりと、まるでヘッセか太宰かを敬愛する文学少女であるかのように、三原作品(特に「はみだしっ子」)に心酔してしまっていました。
今の10代が聞いたら、「ばっかじゃないの?」と即座に切り捨てられる行為ですが、当時はマンガを嗜む10代女子すべてが(といってもいいだろう)、三原作品に関してはこのぐらいのことはやったんです。←断言したΣヽ(゚∀゚;)
マニアとまでいかない、一般マンガ読者層にも影響を与えたという点では、先の御大作家様方を超えたと言っても過言ではないと思います。


今作「ムーン・ライティング」は、「はみだしっ子」と肩を並べる作者様の代表作です。
オオカミ男を祖父に持つトマスと、彼の親友・ディー。
トマスは人間との混血の影響でオオカミには変身できず、彼が月齢3〜4と25〜26という超中途半端な月夜に変身するのはなんとブタ。設定は明らかにファンタジー、しかもコメディです。

「オオカミは生きろ。ブタは死ね。」という強烈なコピーがかつてありましたように、誰もがオオカミを讃え、ブタは蔑みます。
その時がきたら…と夢見ながらしたたか成長した青年が、受け入れなければいけない現実。
おまけに大怪我をしたディーはトマスの血を強制輸血され、トマスと同じ月の夜にオオカミのしっぽだけが生える体質に。憧れのオオカミの証明(の一部)を親友だけが手に入れ、トマスのショックはいかばかりか…。


本来ならばギャグマンガとして、コミカルなギャップに大いに笑ってしまっていいのですが、そこは三原作品だから☆笑うことに罪悪感を感じてしまうような掘り下げ方で、胸を突いてくるのですよね。
オオカミやブタになる現実に共感はもてませんが、子供の頃思い描いていた未来の「自分」と、実際の「自分」=現実との比較からくる恐怖や混乱や諦念ということなら、これ以上の共感はあり得ません。

肉食用に育てられた動物・ブタという家畜に変身してしまうトマスの趣味は、肉を美味しく調理すること=料理です。
オオカミは肉食、動物ヒエラルキーのTOPに君臨する、ある意味支配者。その血を受け継ぐ彼は、人と野生の両方の代表にふさわしい「肉食」を極めようとしていたのでしょう。
冒頭2ページで「ソーセージをもっとどう?それ僕のお手製なんだよ♪」とご機嫌でディーにランチBOXをすすめるトマスのイイ笑顔が、よもやこんなアイロニカルな仕込みになっているとは。
この後、この時の少年期の2人をじっくり描くロングシリーズ「Sons」が刊行されますが、ここまで読んでしまったらもう「ムーン・ライティング」で笑えない。再読もしんどいのです。


もともとトマスの子供の頃からの高い矜持は、自分の家系の秘密に誇りを持っていたことに起因しています。両親も一度に失い、心の拠り所も失ったらならそりゃ錯乱もするでしょう。
でも、彼には助けを求められる親友がたった1人いた。女なら十中八九、恋人(異性)に助けを求めるところです。でも作者様はそうはしません。

そもそも恋慕の情や肉体行為は多少描いても、恋愛感情を真っ向から取りあげたりはなさらない作家様です。改めて、三原作品全体を振り返ってみると、「子供(親子関係)」と「動物」が作品の大きな軸になっていることが分かります。
性区別をはっきりさせる前の個としての「人間」。獣・動物とは違う「人間」。
作者様が一貫して追い続けていたのは、「人」の定義だったのではないかと今にして感じます。



マンガにしては読ませすぎる。小説にしては魅せすぎる。
三原作品とは何ぞやと今後も自問を繰り返しながら、遺して下さった作品を大事に慈しんでいくのだと思います。たとえ再読は出来なくても、絶対手放さないです。ご冥福をお祈りしております。


           *           *          *

わにこさ〜ん、次回お題は「ぐ」か「く」ですが、どうかご無理なさらないでね。
まったり楽しんでまいりましょう♪






 

◆おまけ:「ダドリー」登場作品 発表順年表

三原作品に何度も登場するダドリーは、DADLY=TREVORとDADLY=TRAVERで、姓の綴りが違う2人がいるという事になっています。
お話を重ねるごとに少しづつひずんできた世界観を解決するための作者様の苦肉の策だそうで、ご本人様による事情説明がコミックス「ムーン・ライティング2」と文庫版「ムーン・ライティング」に収録されています。
どっちも持ってますが、今回再読するまではっきり考えたことなかったわ、わはは。


赤文字…「Xday」のダドリー・DADLY=TREVOR
青文字…「ムーンライティング」のダドリー・DADLY=TRAVER


1982年  「Die Energie5.2☆11.8」 「X Day」

1983年   「踊りたいのに」…セルフマーダーシリーズ←1番好きなシリーズはコレです

1984年   「かくれちゃったの だぁれだ」…作者様唯一の描き下ろし絵本
        
        「ムーン・ライティング」 …ムーンライティング版ダドリー初登場
         「お月さまの贈り物」 

1985年   「僕がすわっている場所」

1986年   「ウィリアムの伝説」

1986〜90年 「Sons」

 
全然関係ないけど追記:
・グレアムの誕生日、今でもしっかり覚えているわたくしであった…。













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[腐海航海記]マンガしりとり | comments(3) | - |

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Comments

うわ〜三原順!

>語録(名セリフ集)をノートにまとめたり、暗記したり

はいはい!やりましたとも!
当時の私には難しかった言葉を辞書で調べつつ熟読、暗記して台詞をノートに書いてました。
懐かしい〜、そして恥ずかしい〜(ノω`*)

このシリーズは多分、雑誌が変わったから読まなくなってしまったのかな。 なので、いまいち内容が把握できてないんです。 読んでみたい気持ちはあるけど、「ビリーの森ジョディの樹」のあのペン入れされてないページが頭をよぎってしまって…読むのは辛いですね…。

次回、「ぐ」か「く」ですね。 了解しました♪
comment by: わにこ | 2010/08/23 01:14
■お名前無し様
嬉しいお言葉ありがとうございます、感動でウルウルしてしまいました。4人の誕生日…私も再確認してまいります(再読はできないが)

私にとっても三原作品はいつか書きたいと思っていたけどおいそれとは手が出せない、大事な大切な作品群でございます。
いただきました素敵なお言葉にあります通り、サマーキャンプ、カッコーという言葉にいだいてしまうこの切なさ、三原作品を夢中で追いかけた「あの時」を経験したものにしか分からない気持ちでございますよね。
私も、今にして思えば、きっと(三原作品を)取りあげる機会があるだろうと思ってこの企画を始めたような気がします。


これからも自分の「好き」を、見つめながらマイペースで更新してまいります、どうかまた遊びに来て下さいませ♪
comment by: miru-ha | 2010/08/23 23:19
■わにこ様

>>語録(名セリフ集)をノートにまとめたり、暗記したり
>はいはい!やりましたとも!
>当時の私には難しかった言葉を辞書で調べつつ熟読、暗記して台詞をノートに書いてました。

やっぱやるよね!加えてわたくしは友人と交換日記でしたよ…<ステキセリフやグレアムペンギンを書いて回す

連載を追っかけていたのははみだしっ子ぐらいで、その後のムーンライティングシリーズもセルフマーダーシリーズも全部コミック派、掲載雑誌はよく覚えていないのですよね。
当時は新刊チェックが今のように簡単ではなかったから気がついたらでてた〜、ってことが多かったんだけど。

なので、「ビリーの森ジョディの樹」もコミックス出てからご訃報と共に知ったという…。
初期のいくつかをのぞけば、三原作品で読んでいないのは実はこれだけなのですが、手に取る勇気が今だない…


次回も楽しみにしてます、無理しないでね〜♪
comment by: miru-ha | 2010/08/23 23:34

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