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「忘れないでいてくれ」 夜光花/朝南かつみ

 ◆あらすじ
他人の記憶を覗き、消す能力を持つ清廉な美貌の守屋清涼。見た目に反して豪放磊落な性格の清涼は、その能力を活かして生計を立てていた。そんなある日、ヤクザのような目つきの鋭い秦野という刑事が突然現れる。清涼は重要な事件を目撃した女性の記憶を消したと詰られ脅されるが、仕返しに秦野の記憶を覗き、彼のトラウマを指摘してしまう。しかし、逆に激昂した秦野は、清涼を無理矢理押し倒し、蹂躙してきて―。

2009年9月発行ですので、ちょうど1年前ですね。
本日は、夜光花さん「忘れないでいてくれ」感想です。

世評に常にアンテナを張り、BLという枠内で、萌えとエロと冒険心あふれる作品に仕上げて下さる作家様、作品一つ一つが「夜光花の世にも妙な物語」のオムニバスストーリーの体です。
幻の特集・「今月の作家・夜光花」で夜花さんを取り上げておりますし、過去作も8割以上は読んでいるついつい追いかけてしまう作家様でしたが、この作品が発行されたころは正直申せば少々作風に飽きが来ており、新刊を買い控えていた時期でしたf(^^;) が、秋林さんレビュー(記事はこちら★)を拝見してごっつそそられてしまい、結局お買い上げしてしまったのでございます。
読んでみましたら、なるほど納得!の面白さでございました。なにより、こちら夜光作品群ではかなり重要ポジションの作品に思えます。

ようやく取り上げられました絵師様・朝南さんへの想いも含めまして、次ページで激ナガ感想を。
※旧作なので遠慮なくネタばれしまくってます。未読のお客様はお気をつけくださいね。



◎イメージソング
本日もイメソンを聞きながらお付き合いくださいませ。

   

絡めながら 迷う指先  それは罪?それとも罠? 

今まで寝かせていた甲斐あってか、いい曲見つかったわ〜♪
歌詞も世界観もバッチリ、松下優也クンのNEWアルバム収録曲です♪←またも自画自賛







 

◎イラストチェック/朝南かつみ(アート派)
カラー★★★★☆←星4・5以上は画像UPでUP
近年大活躍の絵師様です。去年は毎月1冊は拝見しておりましたね。
グラミー・イラスト部門の「一躍スターダム賞」をこの方と高階佑さんで迷ったのでしたが、朝南さんは今年の方がさらなる期待が持てそうだな〜と思って見送った経緯があったりします。

表紙、口絵、カットの中で、「あっ、コレステキ♪」と思う1枚を必ず描いて下さる絵師様です。上手さというより「華」で惹きつける絵師様ともいえましょうか。「華」は望んで得られるものではないので、この個性を大事にしていっていただきたいです。
お仕事量が半端ないですが、量をこなす器用さを覚えてほしくないなと切に願っている絵師様でもあります。

今回の1枚は口絵!塚本&黒薔薇さんのカラー(というかモノクロというか)です。
この絵が本編でどれだけ助けになった事か。ベッド下から埃まみれで這い出てくるような、異様な「占い師」のイメージをしっかり伝えつつ、女性としての魅力も表現して下さった素晴らしい1枚となっています。
本編を読んだだけだと「お〜い、こんなけったいな女抱けるんかい、塚本ぉ」と思える黒薔薇嬢、この1枚で「あ〜何か分かる気がする、やるな塚本♪」と彼の選女眼を称えたくなってしまうものね。

ムロン表紙も美しいです。しかも深い。
口絵と合わせたモノトーン、だからこそ赤い薔薇の存在と意味が際立ちます。
もちろん清涼の衣と口絵・薔薇さんから来たモノトーンですし、もっと言えば、本編中の人間像を象徴させたお色遣いでもあります。
「白」衣を傷つけ、清涼の動きを封印する「ナイフ」には、「花吹雪」が赤い血のごとく纏わりついています。
本編感想でもちょっと触れていますが、この作品は白と黒、差し色に深紅、これ以外の色を持って来てはいけない、いや違うな、これ以外の色が浮かばない作品なのです。
こういった手応えある「絵とき」は奈良様画でしかやったことがない(←表紙絵に限る、カットは結構あります) つか今まで奈良様画しかさせてくれなかったのです。絵師様やるな〜♪♪

※絵とき…本当に今さらですが、あくまで個人的に絵解き解釈しただけで、本当にこういう意図で絵師様が描かれているかどうかは…えへへでございます。

カット★★★★
迫力あるカットの連続。
記憶を読む力を持つ人間が主人公のお話なので、作品が見つめるものは人の心や意識など、とことん内向的、精神的な世界です。そこを強調するように描いてあるのは徹底的に「人」のみ、背景もシンボリックなものばかり。原作をよく読み込んでいらっしゃると思います。

清涼を外社会につなぎとめてくれている友人・「塚本」が出てきたカットだけ具体的な風景(といっても道路だけだけど)を描き込んである演出が、これまた巧いです。
P183のH画だけ本編より少々フライングですが、あそこに入れた出版社にブーブー言いたい&H画のフライングは本筋にさほど関係ないので大目に見ます。←おいおいナニ様☆


◎本編感想
いい。 

買うのを控えていた作品に限ってこんなにいいのはどういうことなんだと、我が身の貧運を嘆くほどにいい。

サイコメトリング(体に触れて相手の思念を読みとる能力)とは似て少々異なる能力を持つ清涼。
彼が読みとるのは思念ではなく「記憶」、相手の脳裏に浮かんだ過去記憶の映像だけを読み取ります。清水玲子「秘密」のMRIスキャニング人間版・音声なしとでも申しましょうか、BL界のタモリがナビゲートする物語は相変わらず世にも奇妙です。
でもここから繰り出すトリプルアクセル…じゃなく結論が今作はいつもとちょっと違うのですね〜。←「いつも」についての参考記事:「今月の作家・夜光花」

途中どれだけ奇妙だろうが異常だろうが、ラストは愛する人と幸せに…がこの作家様の最終到達点ですが、今回はもう一歩進んで、愛する人と共に生きる人生が一番幸せだといってるように思うのです。
え?分かりにくい?すみません、右脳がのさばるおちゃめタイプなもので表現が感覚的で
え〜っと、今までは「愛する人と幸せに」のゴールしかない恋バナばかりでしたが、今作は様々なゴールを示唆しておいて、いつものゴールを選ばせたのですね。


記憶を読みとれる清涼は、触れさえすれば相手が白か黒か分かってしまいます。
つまり彼の世界には「if」がない、「〜かもしれない」と想いを巡らせることが出来ないのです。←他人に触れなければ出来るが恋愛ではそれはムリ
そんな彼が、初めて愛した人・秦野に願う、「忘れないでいてくれ」という気持ち。

能力を失わないよう、一歩ひいた秦野のと関係を続ける事も出来た。秦野との関係を続けず復讐を遂げる道もあった。でも結局清涼が選んだ道は、月並みで、でも恋うる相手から最も言われたいたった一言を言い切る道でした。
彼が本当に嬉しかったのは、忘れないでいてほしいと願うほど愛する人が出来たってこと(だけ)ではなく、愛した人に「忘れないでいてくれ、お前の一部でいさせてくれ」と願う事が出来たことだと思うのです。

塚本・黒薔薇さん・名前だけ登場の花吹雪先輩と、清涼の力になる人物はすべて社会的には怪しい存在、でもその心映えは清らかで強い人ばかりです。反面、作中に出てくる「警察」という本来正義・潔の人は、徹底的に黒ずませてます。←お相手・秦野でさえレOプ犯
黒かと思えば白、白かと思えば黒、という図式から浮かび上がる結論は、白か黒かを断じることではなく、白かも?黒って?と想いを巡らせる行為こそが大切だと言っているように思えます。

彼は今後記憶が読めなくなっていくので、「忘れてないよ」と相手にいわれても、それが本当か嘘か確かめるすべをもう持てません。相手の心を推し量るしかないのです。

忘れるかもしれない、思い出してくれないかもしれない、もし忘れてしまったら…

分からないから考える。想いを巡らせる。そして、願う。
「願う」とは相手の心が分からないからこそできる行為、人ができうる最も美しい心でもあると、この作品は気づかせてくれます。

そしてこの幸せを清涼に与えてくれたのは、秦野の持つ白と黒と赤。
彼の携える「赤」はキリストの流した血と同じ。懺悔であり、抉られた傷(痕)であり、痛みを知る者だけが与えることができる救いなのです。

「忘れないでいてくれ」というタイトルの意味は、清涼が秦野に願うとも、秦野から清涼への愛とエールを込めた言葉とも取れます。最悪の始まり方をしながらもここまで来た2人の道のりを痛みともども全部覚えていてほしい、ずっとそばにいて俺が守るから、と。

曖昧で、不安で、でもどこか陶然とさせる「想いを巡らせること」が初めて出来た幸せ、白も黒も赤もある世界で生き続けることの意味と、生き続けたいと願えた喜びをかみしめた清涼は、だから最後にあの一言を言いきって、数ある未来の選択肢の中から秦野とずっと一緒にいる道を選んだのではないのかな〜。甘酸っぱいほどに綺麗なラスト、じんわり目頭が熱を帯びてくる…。


秦野との関係の最悪の始まり、BL界のお約束・「レイプは純愛の証し」も、この作品では必然エピソードに高めてあるのがこれまた巧いです。
そもそもあらすじに踊る「蹂躙」の2文字こそ、わたくしが「またか」と思い買い控えていた筆頭理由。やっぱりあらすじはあらすじ、読まねば分からないことってあるねぇ…。

                       
巧くないとは言わないが、「?」だったのは、トラウマの大元・猟奇事件に絡むサスペンス部分。
清涼の特殊能力の遠因となる事件なだけに、もう少し練った事件性と犯人像が欲しかったところですが、なんだか駆け足で終わってしまった感。でもって攻から犯人まで、関係者すべてが警察関係者というのが少々安易かな。←法の番人にこそ番人が必要だという裏メッセージにもなってるのかもしれないが…

この事件像に納得できれば、もっと複雑な社会派メッセージを含ませることも可能だったと思うけど、BLでそこまで要らないと言われれば、そうかもしれないですね。となると単なる私の好みの問題か…。

             *          *          *

少々脱線しますが、最近の夜光作品を読むと第2期の到来を感じます。
今作で塚本・黒薔薇さん・花吹雪先輩と、強烈な個性ながらストーリー展開上は存在せずとも問題ないワキキャラを3人も出してきたのは、作家様の単なる萌えだけではないように感じます。

例えば塚本が実は清涼を好きだとか、黒薔薇さんが清涼の記憶の封鎖を解くとか犯人の糸口を占うなど、何らかの形でストーリーに絡ませることはできたはずですが、今作はそういった扱いは一切せずに濃いワキキャラをさっぱりした関係で描いています。
さらに黒薔薇さんは、作者様初の「悪役でも犠牲者でもない女性」です。彼女の存在はストーリー上では大した意味はなくとも、作家様ご自身を考える上では大変重要なキャラなのでございます。

ラヴァーズやSHYから出た人外ファンタジーリーズに共通する傾向、「組織」の存在は仲間意識=恋愛ではない人間関係を描きたいという視点から出る発想です。
恋愛という当人同士の感情を掘り下げる作品は、穿ってしまえば自己追求・自己を掘り下げていく行為ともいえます。
今作の人間関係のように、男女問わずで恋愛感情ぬきの信頼関係=友情・組織などの同胞愛に目を向けるのは、追求視点がイン(自)からアウト(他)へ移ったということ、言い換えれば自己追求の答えを見いだせた=自己確立へと意識がシフトしてきたように思います。
恋愛描写から人間描写への視野範囲の拡張、第2期の始まりがこの作品になるのではないか、と感じるのです。

これが正解かどうかは、今後の夜光作品をしばらく追いかけてみないと分かりません。
ってことでまた追っかけを始めようと思います。


あああ、今日も面白味のない内容になってしまった…。毎度申し訳ない…っ。




次回は読書記録かCD感想を予定してます。ちょっと面白いCDを拝聴いたしましたので♪
できるだけ早めにUPできるよう頑張ります。




〔絵師:朝南かつみ〕 〔カラー:★★★★★〕 







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Comments

こんにちは♪
…なんか今日暑いんですけど…なんででしょ?

>作者様初の「悪役でも犠牲者でもない女性」
そうなんですよ!かつてこんないい扱い(といっても、フツーよりいい程度ですがそれでもこう書きたくなる)はあったろーかー?いやない!…反語状態です。単に末路が描かれていなかっただけ、ともいえますけど。

最後に出てくる秦野と清涼の会話。とくに秦野の「結局自分〜」のくだり。今思うと…彼の云ったことがこの作品の本質だったのかなと。浮世離れした不思議な能力を持った男が主人公だったけれど、終わってみればなんて人間らしい話だったんだろうって。「ああ、そういうことか」と。これが書きたいと思って夜光さんが書いたというのならば、私は夜光さんのファンですね。サスペンスパートの甘さや手ぬるさ、ご都合主義は気にならなくなりました。本質にキラリと光るものがあれば…腑にストンと落ちてしまえば感動に繋がるんだなって思いました。これも「結局、自分」なんですよね。わはは♪
comment by: 秋林 瑞佳 | 2010/10/02 15:13
■ゆOO様
朝南さんイラストで魅力倍増のこの作品、YUYAクンの曲をかけながらラストだけ何回も読んでしまったのでした←邪道な読み方だけどココが一番いいんだも〜んf(^^;)

>イメソン
ちょうど彼のアルバム聴きながら再読していて、この曲がかかった時に「おおおお、ぴったり!」と♪
でもタイトルの意味が分からず調べてみたら、「幻覚」「対象なき知覚」とあり、「ぎゃ〜っ、やっぱコレしかな〜い!!」と一人でコーフンしてました。

>LAST SNOW
バラードの中で一番好きなのがこれなんですが、アルバムにアンサーソング入ってたでしょう?またもコーフン☆←いい年してチワワ並みにキャンキャン喜ぶ自分にいささか苦笑


今日現在まででは、作家様作品中も絵師様作品中も上位ランキング間違いなしの1冊と思いますです。
透明カバー+紙カバー(薔薇模様、笑)で隠れ萌え棚に鎮座させました〜♪

comment by: miru−ha | 2010/10/02 23:37
■みOO様、こんばんは♪

夜光さん作品、おっしゃる通り「BL大好き♪」オーラが作品からほとばしってますね〜。
特にここ1、2年の作品は気力体力ともにノッてるな〜と思います。マンガの原作まで書いてるし(笑)
多作・多忙にも拘らずファンを大事にする御姿勢も素晴らしいです(RLG小冊子の宛名手書きには感動しました)

>朝南さん
今年の一躍スターダム賞に温存しておいたのに、今年はNさんやOさんという手ごわいライバルが…!只今3名様ほぼ一直線、年末までの2カ月でどうなるのか注目しておりますですよ!

>ジャケ買い
絵師様買いは彩さんと雪舟画聖ぐらいしかしないのですが、ジャケ買いはしょっちゅうです…。
「ドン・レオーネの花嫁」という、どう考えても危険な匂いしかしない作品も、あじあさんと心中するつもりで買っちまったし、お久しぶりのテクノサマタさん画がどうしても買えって呼ぶもんだから、鬼門のAさん作品もポチっちゃったし…。
バーバラセンセ×朝南さんのヴァンパイヤものもいまだ迷ってますし(すっごい美しいんだよ!)、ご存知の通り剛さん新刊も(笑)
私の煩悩は108以上あるんじゃないだろうかと、最近マジメに思います。

comment by: miru−ha | 2010/10/03 00:08
■秋林様、いらっしゃいませ〜♪
こっちのTUBEも今日(もう昨日か、早いなっ)は日中かなり暑く、ちゅーにち優勝でさらにお熱うございました♪


>>作者様初の「悪役でも犠牲者でもない女性」
>そうなんですよ!かつてこんないい扱い(といっても、フツーよりいい程度ですがそれでもこう書きたくなる)はあったろーかー?いやない!…反語状態です。
唯一、「金曜日の悪夢」の母が例外(良い役まわりの女性)だったんですが、スピンオフでガッタガタになってまして(苦笑)、やはり黒薔薇さんが初となりました(わはは♪)


>単に末路が描かれていなかっただけ、ともいえますけど。
あ、そうかも!!
でもでも、末路を描かなくてもよいと思われたこと自体が画期的?


>浮世離れした不思議な能力を持った男が主人公だったけれど、終わってみればなんて人間らしい話だったんだろうって。
これこそ、ファンタジーや時代ものを読む意義と喜び、もっといえば書を読む喜びでございますね。大人の寓話ともいえるかな〜。

>腑にストンと落ちてしまえば感動に繋がるんだなって思いました。

うんうん、本当にそうですね!この作品はちーと、ほんとにちーとサスペンス部分がムニャムニャ…ですが、「是」なんてか〜な〜りのムニャムニャ(紙様設定)でも、そんなこと全く気になりません!なるほど〜、「これが自分」か…。


秋林さんオススメのラスト・秦野のセリフをもう一度かみしめにいってまいります♪←上のお返事にも書きましたがラストが良すぎて、ココばっか読んでしまうのですよね(苦笑)


コメントありがとうございました♪
comment by: miru−ha | 2010/10/03 00:53

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