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連動コミック企画・マンガしりとり「い」
〜イティハ―サ/水樹和佳子

■マンガしりとり・ルール
・第2日曜担当:わにこ 第4日曜担当:miru-ha マンガのタイトルでひたすらしりとる。
・必ず自分が読んだマンガとする。ジャンルは不問(雑誌・同人は不可)
・続けることが目的なので最後が「ん」でもよし。(例:「ドラえもん」⇒次回「も」)
・同上理由で 濁音・拗音はあるなしどちらもOK。(例:「しょうこうじょ」⇒次回「しょ」か「じょ」か「よ」)
・同作家の作品は各人1回ずつ。2回目は罰ゲーム(後日発表、笑)

 ■前回までの流れ(タイトルポチでブログを超えて(笑)記事にジャンプ)
「真空融接」→「月に狼」「ミルキーウェイ」


連動コミック企画「マンガしりとり」、今回「北の主腐から」わにこさんからいただいたお題は「い」です。

「い」…そりゃもう華不魅さんの「一天四海」!…といいたいところですが既にがっつり書いておりますので、今回は私にとって思い出深い少女マンガ・「イティハ―サ」水樹和佳子:著を選ばせていただきました。

名作とか伝説とかの言葉が虚しく感じるほどの壮大なスケール。
なにせこのマンガのコピーは「読んだ後 人生観が変わる」です。
ページを折りませんのでネタバレご注意下さいませね。


      
いくら自社マンガを売り込みたいからと言って、仮にもその道のプロが「人生観が変わる」まで言う?少々大げさだろう、と誰もが思う一文ですがこれがちっとも大げさではないのですね。
だって私も人生観が変わっちゃった、というか影響されたのですから(笑)


「イティハーサ」は水樹和佳子(連載時・水樹和佳)さんが1986年から10年以上に渡って「ぶ〜け」に連載したライフワーク的作品です。
作者様の作画法に起因する大変特殊な連載形式で(2ヶ月に1回、後半は1年に3回)、掲載雑誌の勢いの衰えと共に最終巻分を残して連載終了になってしまい、最終巻は描きき下ろしで発行されたのでした。
※このあたりの裏事情は文庫版最終7巻に詳しくご本人がご事情を語って下さってますの、でご興味のある方はそちらをどうぞ♪

「星雲賞」のコミックSF部門を何度も受賞されたマジガチSFコミックの大家が神と人に真っ向から挑んだとてつもない大作、作者様を支えて下さった早川書房に敬意を表してハヤカワ文庫版でご紹介いたします。
この文庫の表紙が素晴らしいんだな!
このために作者様が描き下ろされた、美麗で深い意味のこめられた表紙絵です。

                 *       *       * 
  
 この2人からすべては始まったのでした。
森の中に捨てられていた赤ん坊を拾う少年、鷹野(たかや)。天涯孤独だった彼はその女の子を村人の助けもた借りながら自分の妹「透祜(とおこ)」として1人で育てていく。
「え?ホントのお兄ちゃんじゃないの?が〜ん」的少女マンガお約束にはせず、第1回目から血の繋がらない兄妹を描く。これだけでもこのマンガの狙いが単なる恋愛マンガではないことはよく分かります。
2人が住む國は古代日本を彷彿とさせる國、しかもこの2人が育つ村は他の村とは少々事情が違うのです。2巻で「2人を引き裂く運命の刃」とある通り2人は引き裂かれるのですが、引き裂かれ方が容赦ない…。そして単なる権力争いとはわけが違う戦(いくさ)の理由。
運命に翻弄される2人を描く、のではなく、翻弄される2人描くマンガであることがだんだんわかってきます。しかも1巻で描かれている女の子は誰なのか、全巻を読んだら分からなくなるおまけつきです。とんでもないマンガだよ、まったく。

  
よくここまで凝った人間関係を設定できるよな、と鳥肌もののキャラクターばかりなのですが、この3人の関係は特に号泣モノです…。
成人まで心が持たない(廃人になる)遺伝を持つ青比古(3巻)。いつ来るか分からない自己崩壊を待つしかないのに彼の感性は人一倍鋭いのです(鋭い故に壊れる、とも言える)、こんなムゴイ設定があるだろうか…。これぞ真のブラック。
かたや桂(4巻)は女だてらに戦士(戎士)とて剣をふるう。これにはまたもやしんどい理由が。
5巻の、桂しか見たくないのに抗えない理由で桂の側にいられない一狼太(那智)
最終章でこの3人が起こす嵐と言ったらもう…。
櫛が…。櫛がぁ。

キーパーソン・夜彲王(やちおう)。
ストーリー上の鍵だけでなく大きな意味でも鍵なお人ですが、この人自身にもしっかり背景があるんだよね、
本当は透祜の横に並べてあげたかった…。
でもこの他にも重要なキャラはいるのに6巻でこの人出しちゃったら後困るんじゃ?と思わせておいて…





 
最終巻7巻の表紙絵がコレですよ…。
6巻まででも十二分に噛みしめられる素晴らしい表紙なのに、最終巻ときたら…。次元が違う。

この作品はマンガという表現で語る一種の宗教論でもあります。
マクロ・ミクロ・空・是・コスモス。
古代日本の神話思想からキリスト教、果ては偶像崇拝から無神論まで徹底的に描いて語って、しかも作者様はそれらのいずれにも甲乙をつけません。様々な神にすがる人、神を欲する心の在り様を贔屓目なく解いてゆくのみです。
神でさえ栄枯盛衰、万能の存在などない事と語りながら、人が言葉=言霊=想いを絶えることなく紡ぎ続けて行く事で不死の存在になれるとも語ります。
この絵は壮大で衝撃的なメインストーリー(人間ドラマ)と同時に作者様がずっと繙いてきた哲学的思想と世界観を表した一枚・大極図なのですね。

「人類は進化する反調和である。」
小学生も読むようなマンガ雑誌でここを目指したのかと、当時の少女マンガの気高さには尊敬の念を禁じ得ません。まさに少女マンガカンブリア!
本作が2000年星雲賞(SFコミック部門)を受賞したのは納得です。(賞自体の意味はよくわからんが)

たかがマンガを読み終わっただけなのに、今、日本に生きている事に不思議な灌漑を抱いている自分に愕然とします。この話は日本でなければ成しえない。これを他国向けに翻訳しても底流に流れるテーマまで読みとらせるような訳は無理でしょう。
でもって、これを読んだ後で世界史を振り返ると、これまた何と面白い事か!
今でも歴史や宗教などについて考える時、このマンガのことをつい思い出してしまいます。このマンガの思想が私に与えた影響は大きいのです。


更に言えば、これはマンガでしか描き得ないお話です。
小説では複雑すぎて読者に伝えきれない。アニメですべて(音やイメージ)をはっきりとを再現したらそれも台なし。(何より作画が狂う事を作者様は許さないと思う) 

この作品における「絵」とはマンガであること以上に意味があります。
目に見えぬ神々と目に映る神々とが同時に存在する世界のお話なので、目に映ること=絵へのこだわりを捨ててはいけないという作者様の信念のもと、驚異の作画が施されている。
先に述べた「作者様の特殊な作画法」とは、下絵を完成原稿と同じぐらいまで描きこむ作画法のことです。このため、このマンガに絵の狂いはほとんどなく、10年以上も描いてきたのに絵柄がほとんど変わらない。何度も紙に興し考えに考えた画面構成のため構図も効果も芸術的なんですね。
しかも目に見えぬ神々は形の残らない「音=言葉」を残す、という本編内容に沿うように「色(の音)」にただならぬ意味を持たせるので、カラー原稿へのこだわりもこれまたすごい。雑誌掲載が2ヶ月に1回→年に数回になっていくはずです。

この、妥協を許さない作者様の作品とファンへの熱い思いが、長期連載を追いかけきれなくなったファンも生むという何とも皮肉な現象も招いてしまいました。連載当初はかなりの話題作でしたが、この作品をラストまで読んだ方は案外少ないような気もします。

真のラスト…これだけのことを語っておいて少女マンガの鉄板セリフ「OOOOO」で締めるんだもんなあ、あれほど重くて深くて感動的な「OOOOO」はないですよ、しかも表現方が憎い!
音にすること、眼に見えないことがここでもまた!
「イティ」を知っていてこのラストを知らずにいるのはもったいないです。


新装文庫は最終巻まで述べ10年以上かかったコミックスとはまた違い、終了した作品を俯瞰しながら全巻構成できます。だからこの表紙絵に凝縮されたメッセージは半端がないのですねぇ…。



この表紙には更におまけが。
しかも7冊全部買ってもわからなかったおまけなんだよ!ヒドイ(笑)
そちらは次ページで。







   
    

これがあの表紙絵の全容でした。まさか1枚絵だったとは…。
文庫出版から3年後に出た「全7巻BOX」を買った人しかこの絵が見られなかった…らしいです。今は密林画像で普通に見られますから感動も薄いと思いますが、O年後にこの事実を知った私の衝撃といったら…!!←皆様にも疑似体験していただきたく「次ページ」にしてみました。
後2人は比々希と空子都だったのか!

「大極図」とした7巻表紙を中心に据え、この物語を紡ぐ人がまわりをぐるりと取り囲む。
中心の図はこうなって初めて、あの配置の意味が分かるのです。黒枠で強調させた形が「人」を取り込んで無限に広がっていく。
素であり全。この世を成すのは人。守るのは人の想い。う〜ん、これは曼荼羅図だったのか、と初めて気づくわけです。大極どころではなかったわけね、なんとまあ…。

この作品の真のラストはあの2人のあのシーンですが、この絵が伝える事とあのラストは痛いほど結びついています。これを何年か後から明らかにするんだもんなぁ、どこまでやってくれるのか(笑)

     
      
という訳で、次回(4月11日)は「さ」です♪
わにこさん、よろしくぅ




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Comments

なつい!
これ、ぶ〜けに掲載された分までは読んでました。
でもコミックス派じゃないから、結末を知らないんですよね〜。
しかも書き下ろしが収録された単行本って、凄く豪華でお高かったような…(´゚∀゚`;)
昨今の少女マンガ誌じゃちょっと見かけない、一回でも見逃したら付いていけなくなる深すぎるお話と、華麗で緻密な絵が凄かった…。
思い出したら読みたくなっちゃった。

次回「さ」了解しました!
正統派で行くか、超フェイントで行くか…正統派で行ったら次つなげるのに困るかもよ?←と脅してみる(笑)
来月10日には北国に旅立つ事になったので、次回は前倒しで4日でも良いでしょうか?
comment by: わにこ | 2010/03/28 04:05
今回は正統派で行ってみましたよ〜♪

あのラストを読まないのはもったいないです!ぜひ読んでみて(≧∇≦)

私も雑誌派だけど「ぶ〜け」の雑誌サイズが途中で変わった頃に見限っていたので、イティが連載打ち切りになっていたことも最終巻が出てたことも全く知らなくて。
文庫版見つけた時に「終わってたのか!」と驚きました。

>正統派で行くか、超フェイントで行くか
わぁ、どっちも楽しみ♪
気になるのは「フェイント」だけど、「正統派」で次回を受けて立ってみたい気も(笑)

>4日
了解しました!
日程にご無理のないように采配なさって下さいませ〜(^^)v
comment by: miru−ha | 2010/03/28 23:29
>ゆOO様
休み休みとはいえ10年以上かけて描いてらっしゃるので、3000ページ超えてるんですよね〜。しかもこんなに超大作なのに無駄がまったくないのです。
お時間ある時にじっくりゆっくりイティワールドに浸っちゃって下さい♪

P.S.
いきなり香雨さんか!ノーマルカードの中では当たりです、キレイだよね〜♪
comment by: miru-ha | 2010/03/31 00:48
>まOO様
コメントありがとうございます、やっぱり「ぶ〜け」派でしたか!初期は良かったですよね、内田善美さんもご健在だったし、鈴木志保「船を建てる」なんて衝撃でしたもんねぇ。

何度も申し上げてしまいますが、あのラストを知らないのはもったいない!たいそう複雑な終わり方ですが、理論じゃなくて気持ちが複雑っていうか、あ〜これ以上言うとネタバレに。「樹魔・伝説」に近いといえば近い…かなぁ?

大人になったせいか(笑)初読み時より難解困惑度は低かった気がします。今がチャ〜ンス (v^ー°)
comment by: miru-ha | 2010/03/31 01:12

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