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「初心者マークの恋だから」 いつき朔夜/夏目イサク 〜9月新刊3本勝負・其の参「秘蔵っ子」 

近年稀にみる(まだ1年しかたってないつの)、高ピラメキ度企画「9月新刊3本勝負」
4回目(最終回)の本日は、昨日に引き続きルチルとディアプラスの秘蔵っ子対決!


◆9月新刊3本勝負・参番 テーマ「秘蔵っ子」
玄上八絹「銀とシュガースノー」 VS いつき朔夜「初心者マークの恋だから」

後攻「萌黄組」・いつき朔夜「初心者マークの恋だから」をお送りします。

3本勝負なのに4回ある不思議を、自分でも直視できません。お付き合いいただいている皆様に心より感謝いたします…。

イメージソングは昨日今日共通のバトルイメージソングなので、昨日記事をご参照下さいませ。(YOUTUBEの画像が重いのでこのページは省きました。)

今回も長くてすみません…。
  ◎作品あらすじ
いつき朔夜「初心者マークの恋だから」
年上のいい男に口説かれて、ホテルに入った新米教師の謙吉。なのに土壇場で怖気づき、彼がバスルームにいる間に逃げてしまった。
ところが数ヵ月後、他校の会議室でその男・達川と再会した。そして、高文連弁論部門の専門委員として、共に活動することになったのだ。男としても教師としても憧れと尊敬の念を抱かせる達川に、謙吉は惹かれていき…

◎イラストチェック/夏目イサク(コミック派)
カラー★★★
カット★★☆
今回はカラーとカット、二つまとめて書かせていただきます。
 
最初に言い訳させていただきます。
夏目さんのコミック「どうしようもないけれど」はBLコミック界の大当たりと思ってます。
大好きです!そこを踏まえて今回…。

せつない。

「絵柄」は大好きです。顔も好み♪線も好み♪

でも今回は切ない。
だって、小説イラストに一番肝心な(…と私が思っている)作品理解度&具象化への熱意が感じられないんですもん…。

この作品は確かに「男同士の恋愛」ですが、だからと言ってメインカプだけ描いてちゃどんな作品持ってきても一緒です。エロオンリー作品ならそれでもいいかもしれないけど、いつきさんですよ?それはないっしょ。むしろ足りない位でしょ(笑)背景すら描きこめないほど、メインカプのアップばっかりじゃお腹いっぱいです。(2人だけの世界♪の時はいいんですが)
この作品では恋と同時に「教師」であることがとても重要。せめて生徒(顔まで描かなくてもいいけど制服姿ぐらいは…)の1人、大会会場の一部ぐらいはしっかり描きこまないと、恋に仕事に自分探し、な「初心者」が伝わってこない…。

これはコミックではなく小説の「挿絵」なので、絵師様の描きたい(描きやすい)もん描いてちゃダメだろうと思うんです。
昨日の薔薇組絵師様をあれこれ申し上げましたが、作品理解度&表現しようという熱意は先様の方がずーっと感じられます。
端的に言ってしまうと、薔薇組絵師様は画力が不足、萌黄組絵師様は画力しかない?
しかも攻めの表情…。
本編読むとわかりますが、多分この表紙のような俺様な表情はしない人だと思うんです。強引なところもあるけど結構不器用で怖がりで人間臭い攻めですから。するとすれば相当交際進んだ後なような?「もう少しで一回り違う所だった」年の差も全く感じられないし…。
この表紙だけ見たら、百戦錬磨の遊び上手に気に入られ翻弄されまくりの新卒タヌキくん、みたいなラブコメ想像してしまいます。
それもなくはないがそこがメインではないのに、なんだってわざわざ「ラブコメオンリー」にするのか…。表紙バックのピンクハート大盤振る舞いがこれまた一層なお手軽感。この「絵」ならこのデザインでいい、とは思いますが、ホントこういうお話ではないのです。
 
受け視点でだけ見てるからこうなっちゃう気がします。作者様はしっかり攻めの揺れも書いてきているのに。
どっちも同じ本気の恋、だから「初心者」、がこの作品の面白みだと思うんだけどなあ…。
 
濡れ場が以前よりガチンコ描写だったり、カップル重視だったり、BLマンガ家たらんとする努力は認めますが、こういう形での業界への適応は個人的にはあまり嬉しくありません。今後のオリジナルマンガにも不安が出てきます。

溺れた世界を見せられるのも辛いですが、自己追求を放棄されるのも寂しいです。


◎本編感想
ディアプラスの希望&もはや稼ぎ頭の風格さえ漂う、いつき朔夜さんの半年待ったよ新刊です。
「G1トライアングル」でその完成度の高さにイッキに持ってかれてしまい、即コンプ。(除「コンティニュー?」=私的地雷アリ)
幅広い題材、丁寧なストーリー作り、ダブらないキャラクター(作品ごとに見事に書きわけてあります)、読み手を意識した文章、作品の完成度も安定感も高いのは当たり前ですね♪

昨日の玄上さんの個性を筆跡すがしい墨絵の魅力とすると、いつき作品は印象派の描く丹念で愁色漂う油絵のような味わい。
こういう例えができるほど、どちらも己が世界をしっかり持っていらっしゃいます。世界自体があやふやな作家様も多いですから、確立されているだけで特筆に値します。
だから「3大グレートデビュー作作家様」(一穂ミチ・いつき朔夜・玄上八絹)と位置付けて、作品を可能な限り追いかけているのです。
世界の中心は何なのか、その世界がどこに向かってどの位開いているのか、が作品の評価に直結するのは世の習いです。3大グレートデビュー作作家様でデビュー作後の結果に明暗があるのは、ぶっちゃけこの意識の違いだろうと思うのです。(皆様、センスはある方ですので…)

現段階では、一穂さんは中心があやふや、玄上さんは引きこもり&チラみせ、いつきさんだけが自己(中心)をしっかり持ちながら、外を見て(意識して)いるように思えます。
言い換えればプロ意識の差かな?ちょうど、アマチュア、同人、プロ、になってますね、面白い。


イラストチェックで書きましたように、ラブコメ要素もあるがオンリーではない恋バナ。
出会って速攻ホテルという究極の軽さ(未遂)で始まる恋は、実は運命だったというロマンスの王道ストーリーです。
そこにいつきさんお得意の特殊舞台なのに目に浮かぶような臨場感が加わります。今回も読みごたえあり♪

文化系部活・疑似スポ根はマンガ界では花盛りです。(碁、将棋、演劇、書道、かるた、漫研などなど。該当作品わかるかにゃー?)
でもでも、今回まさかの「弁論」、しかも小説で!
弁論やスピーチは聴覚はもちろん、意外と視覚(ジェスチャーや表情)も重要ですよね。
視覚に訴える「マンガ」ならまだ表現しやすかろうと思いますが、文字だけで「弁論」…。
ううむ、「表現」には限りがないのだなあ!
題材が珍しいだけで本筋にはあまり活かされていない、という作品が多い中、そこはさすがいつきさんです。お見事!という言葉しか出ない専門エピソードと本筋の融合。フィクションとノンフィクションの混ざり具合が実に自然、絶妙です。
作家様は、様々な立場で物事を考えられる=多角的な視点を持てる=類まれな想像力の持ち主、と思います。だからどの作品でも、まるで見ているかのような臨場感にあふれているのです。「ウミノツキ」で作者様がタイに行ったことがない、と書かれていた時の驚愕と言ったら…。
「読者の立場に立った」作品が書けるのも当たり前なのですね〜。


感動演説に慣れている攻めが思わぬ論題に感涙し、それが発表の妨げとなって1人の生徒が…、そして受けクンは…、と「そして」「それが」「だから」…のエピソードが玉突き状態で無理なく(ここ大事)繰り出されるので、読み手も一緒にドンドン先に転がっていけます。楽しい♪

雄弁を必要とする弁士の指導者でも本気の恋愛では訥弁、という含んだ表現も面白いですし、何より新米教師の謙吉クンが恋も仕事もキチンと自分で考え、悩み、行動してゆく様に引き込まれます。
余裕と見栄が紙一重、理詰めで考えるクセに意外とイノシシ型の攻め・達川のキャラもステキ。
30越えの大人らしい含みとセリフ、これぞ「粋」です。これがあるから受けクンの若さや悩みが余計に活きてくる。うまいな〜。
受けクンから見ればスーパーヒーローでも、実は彼も本気の恋に悩みも焦りもする等身大の普通の「人」、そこに2人が気づくまでのまじめなラブストーリーなのです。(だから「ラブコメオンリー」に見えるイラストが苦痛なのです)
初めメインキャラかと思うほど出張っていた青柳があっさりフェードアウトしたり、前半・後半両話ともHオチという同人作品ぽい締めなど、詰めの甘さもちらほらあるのが惜しいけど「強いていえば」のレベル。ホント、完成度高いです。


にもかかわらず、今作にはズバ抜けた満足感がない。(えーっ、これだけ褒めといて?)

「印象派」の特徴・起承転結の「転」部分の柔らかさを、この小説では、「華がない」に感じてしまうのです。おそらく恋愛部分の「転」部分の曖昧さに起因するんだと思うんですが…。でもくっきりした「転」も安っぽくなりますし…。
これはもう、印象派だけ集めた美術館で名作ばかり見続けた時の少々の「飽き」 、鑑賞者サイドの贅沢で勝手な我がままによるものです。
今までのいつき作品を知らずこれ1冊だけ読んだのだったら相当感激したと思いますが、知っているがゆえに感じる身勝手な物足りなさと思います。申し訳ない…。

「いつも通り楽しかった」の評価は出せる良作です。でも、だからこそ「いつも以上に楽しかった♪」を目指して精進してほしい…、とか言ってしまえるのはこの方のレベルが群を抜いて高いからです。
才能ある選手にはさらなる高み、ベスト10じゃなくてTOP1を目指してほしい。いつきさんにはそんな期待をしてしまいます。
いつ、どんな風に出会っても「落穂拾い」には感動するではないですか。

もちろん、なんのランキングでTOPを目指すのか、が重要なんですけども。



ふう、「良作」でもダメだししてしまう自分がイヤです。「いい!」だけで終わる回はないの?
(答え:多分ない)







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『G1トライアングル』いつき朔夜/ホームラン・拳
「小説bBOY7月号-黒の衝撃」・イラスト&コミックチェック前編
当ブログ用語辞典



〔絵師:な行〕

 

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Comments

■hOO様

過去記事まで読んでくださってありがとうございます♪
すっごい延期してたのは覚えてるんですが、そうか雑誌掲載の絵師様は紺野さんだったのか〜!(←フレグランス〜で大爆笑しました、目に浮かぶ)

う〜わ〜、このレーター様変更は痛いな〜…。
自社お抱え絵師様なら無理がきくってことでのご変更だったのでしょうか。
ねえ様のお言葉で、久我さん「君を抱いて昼夜に〜」の口惜しさまで蘇ってまいりました。
自給自足をするのなら、覚悟を持ってあらゆる作風に対応できる挿絵師様を育てていくべきですよね。それが結局は時価(マンガも含めた自社ブランド力)を高めることになると思うんですけれども…。

近頃、本当にイラストには憂うことが多くてさびしゅうございます…
comment by: miru-ha | 2010/09/03 20:54

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