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「モノクローム・キス」 安曇 ひかる/水貴はすの

こちらに何回か遊びに来て下さるお客様(いつもありがとうございます♪)は、既にお分かりかと思いますが、miru-haはうんちく好き・分析好きです。

先日いただいた秋林様のコメントへのお返事でも書かせていただいたのですが、こういうタイプ(私の事)が言う「面白い」とは、辞書の釈義の“
「このマンガちょーおもしろーい♪」
のように語尾に「♪」のつくような、「愉快だ、楽しい」という意味よりも、番の
「う〜む、なかなか面白い表現だ」
のような、思わずないアゴ鬚をなでたくなる「興味深い」という意味で使う事が多いです。

先日購入した新刊が「それぞれに面白い!」といったのもまさにこれ。
興味をひかれる=書きたくなる要素が多分にある、って事ですが、それが自分にとって好きか嫌いかは、別問題なのです。
ダリやピカソの良さは十分認める、熱く語りたい!けど好きなのは、奈良さん♪みたいな。(ん?極端すぎ?じゃ、セザンヌ)
ですので、今回は感想と言うより珍しく書評に近い内容になるかもしれません。


今回は短時間でまとめて本数を稼ぎたいので、卑怯ながら箇条書きをお許し下さい。いつもは起承転結と視覚効果を考えて推敲してるんです、あれでも。
箇条書き・なんちゃって書評なんで激ネタバレです。
折りますが、未読の方はご注意くださいまし。




  ◎イラストチェック/水貴はすの(コミック派)
カラー★★★☆3.5
このタイトルだけで「葬儀会社」に行きつく人はまずいないと思います。ので、表紙イラストはかなり大事です。キレイなバラ色背景とと黒スーツがいい感じです。背中合わせの構図も「キス」という関係に合っていて良いと思います。手にした「菊」がちょっとストレートすぎて若干笑えますが。
今回の3,5はおまけかな。口絵がもっと工夫ある絵だったら文句無しだったんですけど。嫌がってるのにあまりにご開帳で(笑)
カット★★★☆3.5
P113のカットは良いですね〜。UPも構図もキレイです。
ほかもコマを工夫したり、リアル背景とイメージ背景を単調にならずに配置したり、色々と気配りされながら描いていらっしゃるのが伝わってきます。その姿勢に☆1つで計3.5。
ただ、人物はもっと関節を意識して描いた方がもっと上達されると思いますが…腕や手、指などが不自然というか関節がない、タコあしのような曲がり方をするのがどうしても気になる。描きクセかもしれませんがリカちゃん人形の腕曲げてるんじゃないんだし、もう少し人体デッサンした方がいいかな?


◎本編感想
1.購入理由
「電子図書パOレス人気投票NO.1」の前作から、気になっていた作家様です。
以前同じあおりにつられ「OOな×の▲▲」を購入、しょっぱい目にあった事があるので前作は手控えましたが、今回は「葬儀屋」ですから!
「勤労感謝週間特集」を組んだほど(去年実施)ワーキングBLをこよなく愛するワタクシmiru-ha、ましてや冠婚葬祭は自分の仕事(花関係のほう)とも絡むので買わないわけにはいかない!
くしくも作家買い・玉木ゆらさんの新刊が「婚」なので、対の意味でも面白い(◆砲なあ、と。

で、買いました。


2.「面白い]と判断した理由:
今年2月のアカデミー賞で「おくりびと」が外国語映画賞を受賞しましたよね。あの時に絶対マンガ界やBL界でも「葬儀」を扱った作品が来るだろうと思っていました。
今回、編集さんから葬儀屋の話を書いてみませんかとお話があったそうなので(後がきより)、今の発刊と言う事を考えると時期的にぴったんこです。ほ〜らやっぱりね。

BL3大テーマパーク「アングラ」のように事件絡みの「死」ではなく、「葬儀」は日常生活で誰もが触れる可能性のあるデリケートな「忌み事」、かなりうまく立ち回らないとただの不謹慎な毛色の変わったワーキングBLで終わってしまいます。
そういう意味ではこの作家様の「葬儀会社」への姿勢は実に真摯。相当入念に取材されたのでしょう、近頃例を見ないリアルで丁寧な業界描写です。
秀香穂里さんのような、作家ご本人が経験者というリアルとは一味違ったリアルな業界描写に、安曇さんの真面目な姿勢がうかがえて高感度大!です。

そして後書きをよく読めば、実は編集さんから話があったのはなんと「去年の春」だったのです。ええっ?
一年以上も取材&準備してたんですか?そりゃ丁寧なわけだ。(なにがほ〜らやっぱり、だ)


ついこの間まで、葬儀に限らず冠婚葬祭の費用は「一式」表示が当たり前でした。内訳を聞くなんて礼を失する「非常識」だったのです。

今は明細を明らかにするのが「売り」になる時代、次世代に迷惑をかけないように生前葬までするケースもあります。
そして葬儀は実は商業的には手堅い分野です。結婚はしなくても人は必ず亡くなります、つまり人口の数だけ仕事があるのです。

この作品の会社はその辺りの事情をうまく取り入れ近ごろ急成長した新しいタイプの葬儀会社、という設定です。
その先鋒を担うのが若き専務・次期社長の攻めなのです。うむ、若さに無理がない。
葬儀もサービス業ですから営業や接待なくてはシェアを拡大できない。昔からの業者にまかせっきりが多い病院に自社を知ってもらわないといけないからです。だからこのご時世でも派手な接待をする。うむ、これも自然。納得。

病院接待で院長とは別に、看護婦や事務長相手の接待も重要というのは初めて知りました。
へ〜、そうなのか。
たとえこれが作者様の創作だとしても全然不自然じゃない説明がちゃんとあるので、これも納得。面白い(△琉嫐)

何だかんだで上手くいった2人の事後のピロートークも面白い。
嫉妬深いとああいう行動(セリフ)に出るわけね。半年も…可哀そうな子


3.「イタイ」と思う理由:
2の面白い理由を読んでいただいてお分かりの通り、受けにまったく触れてません。つか触れられません。だって、彼が「イタイ」理由そのものなんです。

次期社長の攻めと高校の同級生だった受けこそ本作の主役。彼視点でお話が進んでいきます。

が。
もう、どうしようもなく受けの性格が悪い。意地悪いとかじゃなくてタチが悪いのです。
とても28歳の営業経験のある男とは思えないガキっぽさ。いや、ガキが気を悪くするな、今どき小学生でももっと大人と思うよ?
気性がまっすぐで子供っぽいんじゃなく(攻めはそう考えてますが)、非常識で不快を覚えるタイプのガキです。
初めての仕事(お葬式)で泣きだしてしまったり、熱血&仕事熱心で悪い子じゃないんですが、考え方が浅い上に卑屈。
遅れてきた親族(ヤンキー)を見つけて誘導してあげたり、非道な親族を怒鳴りつけたり、ちょいちょいいいとこ見せたかと思えばそれを帳消しにする意味のわからない行動動機で、本人も読み手も混乱してしまいます。

接待の席で客より先に酔いつぶれて意識がなくなる「ベテラン営業」なんていませんし、仕事頑張る動機が専務(攻め)の右腕へのヤキモチからって、転職したばかりの28才の社会人の考える事でしょうか?
新入社員だったらこれでもいいんだけど、「センスが光るやり手営業マン」だったらしいのでどうにも…。
攻めの右腕が彼を責めてますから、作者様も承知の上で書いてると分かるんですが、登場人物に問題箇所つっこませて終わり、じゃ芸がなさすぎです。


それに接待で寝るか寝ないかが一番のヤマ場って、別に葬儀社じゃなくてもいいエピソード。
せっかくここまでリアルに業界を描きだしたんだから、同じ土俵(葬儀界)で手柄をあげさせなければ意味がないではないですか。
例えば、故人の遺志に反した派手葬儀をしようとした遺族に、地味なお式と自然葬で金額同じにしようと提案するとか(商売だからここ大事)、葬儀中の急なアクシデント(よみがえりとか、笑)を機転で解決するとか、同じ土俵上で誰もが納得できる活躍をみせてこそ攻めが惚れ、読者が惚れるワーキングBLヒーローだと思うんですが…。
正直この展開なら、お仕事はホストでも旅館でも接待がある仕事ならなんでもいい。せっかくの丁寧な取材と綿密な描写が全く意味をなしません。


葬儀に絡んだ受けの活躍シーンが後半にありますが、あれは活躍と言うにはビミョーです。
結果オーライだったとはいえ上司(攻め)に土下座させるような行為を通夜の席でしてしまうんですが、人として正しい行為と信じた上での仕事の範囲を逸脱した行為だったわけです。
これが、非難も出来ないけど賛成も出来ない行いなんだよなあ…。

どのような理由があろうと、この場合お客様を怒鳴る役目はやはり彼ではなくて身内でしょう。ご遺体を身を挺して守って自分が踏まれる、ぐらいの信念の見せ方ならアリかと思うんですが、怒鳴るだけなら処理としてお手軽すぎる。20のワカぞーじゃないんだから。

おまけに悪い事を言っていないから謝るつもりはない!といいつつ、攻めが頭を下げるところを見て後悔して辞表を出すって???意味わからん。
それじゃあ、信念関係ないじゃ?誰のために何のために仕事してるの?
このあたりの覚悟が甘いっていうか、詰めが甘いっていうか、作者様はかなりお若い方なのかもしれません。


「10年ぶりに会った無二の親友」も「?」。
10年会わなかった事情はいろいろありますが、動機付けとしてどれも弱い。
そもそも受けは一番の肉親である祖母を1ヶ月付き切りで看病し、見取り、普通ならお式ではボロボロの抜け殻のはず。
なのに斎場で攻めに会い、10年会わなかった理由はどこへやら、久しぶり、と笑顔で会話し挙句俺の会社で働かないかと就職まで世話され、快諾するのです。
この後受けはウキウキしながら霊柩車に乗ったに違いなく、それって「えー?」です。
ただの参列者として偶然会ったなら不謹慎とはいえ理解の範疇ですが、出棺前に喪主の次席の遺族(遺影を持つ人)を掴まえて交わしてよい会話でしょうか。


4.総評
取材も描写も丁寧なのに肝心のオリジナル部分、キャラ設定やエピソードが致命的に甘い、というか練りが足りません。
ラブに関係ないモブキャラ(同僚のおっちゃんやおばちゃん)の方がリアリティという意味では上です。(特に曾根さんのセリフは光ってます、きっと実話と思う)
結果バランスが悪く、ワーキング部分の多い初めはいいのに、お話が進みラブ部分が出てくるにつれドンドン失速。
残念としか言いようがありません。

新人の方と思うんですが、とても真面目な方と思います。
文章で高感度をあげられる、非常にいいものを持っている作家様なのですから、もっとエピソードに時間と手間をしっかりかけて、じっくり組み立てれば必然的にキャラクターも魅力が出るはずです。
頭で考えたゆるふわ人物設定じゃなく、お仕事を取材する姿勢でもっともっと人間を取材(=人間観察)すれば、今後大化けの可能性はかなり高いように思います。

課題がはっきりしていて、しかも克服可能なのですから作家としてはとても恵まれた方です。
私だとて、こりゃだめだ、と思ったらこんな風に独立記事にはいたしません。(例外:土曜企画)

作家様自体が、今後が「面白い(◆法廚抜兇犬訛減澆任發△襪里任靴拭


全然推敲せずつらつら書いてしまいました。後日時間あったらもっときちんと書きます。
今はこれでお許しを。

◎イメージソング  
「プルメリア〜花唄〜」Aqua Timez

Aqua Timezの夏ソンです。映画「ごくせん」の主題歌でもあります。

「花唄」は「鼻歌」、愛して口ずさむ歌=愛しい君がずっと側にいて、幸せそうに鼻歌をうたってくれていたらただの歌でも「花唄」になる、と歌いあげる何気に熱烈ラブソング。

霊前に「花」を備えるのは、まさにそういう気持ちが込められてると思うので(「側にいる」意味が違うけど)、こちらピッタリかと思います。
「葬儀会社BL」を「モノクローム・キス」という表現にまで昇華させた作家様の意図も汲んでの選曲でございます。
急な選曲にして、なかなかどうして。(自画自賛)



【ブログ内関連記事はこちら】
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まいったなあ…
ご挨拶と今後の掲載予定
イラスト考察「コミック派」と「アート派」
7月の読書記録
当ブログ用語辞典



〔絵師:ま行〕

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    Comments

    ■このページに拍手下さった皆様、本当にありがとうございましたm(*・´ω`・*)m

    階段を一歩づつ、確実に上がっていかれるタイプの作家様との思いは変わらずです。

    1作おきぐらいに読んでみるのが、わたくしのパターンとなっております。次回新刊は買う番だな〜。

    comment by: miru-ha | 2011/07/02 00:45

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