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「嘘つきは紳士のはじまり」 松尾マアタ

医学生のジョナサンは、付属病院から持ち出した向精神薬を学内で売りさばいていた。それを知った担当教授のポールに、公表しないことを条件に身体の関係を迫られることに。一晩限りの関係から始まった教授(妻子持ち)と教え子の恋の駆け引き。
教授と教え子、紳士的な二人が織りなすラブ・アフェア
収録内容
「Gentlemen's Agreement」(2005)
「Sweet Revenge」(2006)
「Bless an Angel」(2007)
「All Things You Want」(前編) 「All Things You Want」(後編)(2008)
「Get Out of My Room」(前編) 「Get Out of My Room」(後編)(2009)
「Have a Nice Summer Vacation」 (2010)
足掛け5年の短編連載、このたびようやく1冊のコミックとして発行されました。
新人作家さんだがキャリアは長い、ということになるのかな。

5年前の第1作から、すでに確立された絵と世界観。「初期はアイタタ」の先入観を覆す見事な仕上がりに驚きです。
ご自分の目指す世界にふさわしい画力とストーリー。クールでスタイリッシュでウィットに富んでいて、なにより外国観(?)に嘘がない。
各話のタイトル、作中出てくるWASP・ポロ・ケータリング・プレッブスクールなどなどのさりげなさにしても、この方のバックボーンにしっかりした「アメリカ」があるのがよくわかります。←英語圏でご生活されたことがある(だろう)とかそういうことね
よって、和製英語的発想の「イメージ外国」ではなく、翻訳小説を読んでいるかのような「生きた外国」感に満ちておるのです。


あらすじにある通り、教授には生物学者の妻とかわいい娘(推定10歳)がおりますが実はゲイ、家庭は大事にするものの、恋のハンター(古っ)としても精力的です。
隠し事がたくさんある彼は、嘘もお上手。
その場限りの嘘、一生抱える嘘、他人につく嘘、自分につく嘘と、彼の人生は嘘だらけなのですが、誰かをまったく傷つけない人生などあり得ない、ならば痛みを少しでも和らげるために嘘は必要悪だと達観している彼は、覚悟と自覚と開き直りを持って「嘘も方便」を実行しています。
嘘の動機がすべて(彼なりの)善意からなので、バレたらサイアク☆な生き様も不思議と卑怯には感じません。いつかバチあたるだろうな、とは思うけどね(笑)

教授のこういった考え方には、欧米ハイクラス(貴族)思想が反映されております。
貴族社会では、良家の子女は身持ちの固いうちにできるだけ条件の良い家に嫁ぎ、妻になってから年下の男性と初めて恋愛をするというのが、いわばたしなみだったりするわけですが、教授もそういう生き方を自信を持って選んでいるのです。だから「嘘つき」は紳士のはじまりなのですよね。
愛と恋を使い分けてる、とも言い換えられるかもしれません。そういう価値観なのだから仕方ないのです。
この辺り、日本と欧米の恋愛観…というか道徳観の違いによる意識の差とも置き換えられて、なかなか面白いです。

日本の恋愛事情は恋=愛=結婚とすべてに熱を帯びた一直線ルートが理想形、恋愛のきっかけや過程が無茶エロ無法地帯のBLでもこれは同じです。←理想どころかこれしかないかも。
もし日本舞台でこのお話を書いたなら、妻も可愛い娘もいる教授は絶対当て馬役、教授と不倫していた学生は真実の愛を別の未婚者に見出し、そっちの2人が結ばれるってなお話になるハズで、今回のような2人の関係は、本来BL界の恋愛事情ではどちらかというとタブーな設定なのです。
でも、結婚から始まり愛と恋がすっぱり別物というお貴族的恋愛観が、私ども庶民感覚から遠すぎてかえって違和感が感じられなくなる。本場英国貴族ではなく、ゲイ王国アメリカのアッパークラスだということが、さもありなんと一層思わせるのですよね。
これほどスタイリッシュで無理のない「虚構」は、なかなかお目にかかれません。一般マンガや小説にしても遜色ないと思います。
作家御本人に善し悪し問わずの欧米事情(思考)が相当しみ込んでいないとこういった作話センス(着眼点)はまず身に付かない、外国「好き」だけでたどり着く設定ではちょっとないのです。

突拍子もない思い付きですが、もし、三原順さんがBLを描いたとしたらこんな切り取り方するんじゃないかとふと思ってしまいました。よもや新人さん作品感想に三原順さんのお名前を出すことになろうとは、夢にも思わんかったねf(^^;)


1話より2話。2話より3話。3話より…とどんどん面白くなる恋模様が堪りません。
お絵柄の移り変わりも、確立された範囲内での変化なのでまったく問題無く、エロ少なめとは言え、時々入っている個性的アングル(エロきれいで感心した、とくにダニエルとの…!)の数コマで十分萌えられるし、ラストの締めも、読者におもねるとはこういうことを言うのですよ!と絶賛したくなる、実に洒落た終わり方です。こんな恋愛してたら、途方もなくイイ男になるんじゃないの?<ジョナサン
「髪が命」のこの業界で、ハゲでも、坊主でもない、「ハゲかかった37歳既婚の紳士」を主人公に据えるセンスとともに、この作家様にマジぼれしました。

久々よいマンガを読ませていただきました。←BLコミックとあえて言わない
小説挿絵のお仕事をぜひ見てみたいな〜♪


…と思ったら、早速10月にでるのですよね!!ショコラさんグッジョブ!

10月10日発売:「アナタの見ている向こう側」 火崎勇/ 松尾マアタ   
 
おおおお、火崎さんとのコラボならポチに迷いなし!
カット割りとかHシーンのアングルとかどうクルのかな〜、楽しみ♪
火崎さん、できるだけエロ濃い目でお願いします!←ムチャぶり




次回は…ときめき小冊子記録か、こちらを。

  BLの奥深さを教えていただいた…。




                                                                                       〔絵師:松尾マアタ〕


 

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