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「ダブルミンツ」 中村明日美子

やっと、来た。
私の考えていた「中村明日美子」が。 
本日はガチマジモード、本気で語る事をお許しいただく。表現にブレーキをかけないので不快に思われる箇所もある事、先にお断りしておく。
イッキに書くのでページは折らない。ネタバレも敬称も気にしない。ご了承いただきたい。
                    
         ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・

考察で書いたようにこの方はアートとコミック同時進行のマンガ家だと思う。
このタイプはある程度年月がたって「絵」が安定しないとマンガとしては正直キツイ(例:阿仁谷ユイジ氏)アート派の初期は自分探し真っ最中、ぶっちゃけ「下手」だからだ。

マンガファンの間では「絵」が個性的なマンガ家の作品はいわゆるマニア受け、逆にいえばこの作品の良さが分かるからマニアだという言わば読者側の「マンガ通」のレベル判定のような扱いを受ける事がある。
全作読んでいない私が非難覚悟で恐れずいえば、今までの中村作品は典型的なレベル判定本。「絵」以外の個性を感じられなかった。(勝手にグラミー2008コミック部門・「同級生」参照)
でも、本当に「面白いマンガ」とは、初めてマンガを読む人もマンガマニアもどちらも引き込んでしまう得体のしれぬ吸引力をもった作品の事ではないのか。(感動でも怖さでも理由は何でもいい)

そして今作。
来た。やっと、来た。
アートとしてもコミックとしても秀逸、BLコミック理想形「見ても読んでも楽しいマンガ」家「中村明日美子」が。

絵、マンガ力共に「中村明日美子」がしっかり確立され、迷いのない個性の主張が気持ちいい。削ぐものを削ぎ、研ぐものを研ぐ。匠の手になる日本刀のような美しさだ。

そしてそれに伴うレベルのストーリー。
価値観の逆転とでもいおうか、「善悪」の概念を覆す自己破壊と自己保存の共存。
「半身」を捉える名作マンガ・萩尾望都「半神」と真逆なアプローチながら、目指す高みも達した高みも肩を並べる。

このテーマを描ききるためには、正直「女」の結末は軽い。あそこで救ってしまうのは良くも悪くも少女マンガだ。アレで終わっていたら普通の範疇、ちょいハードな青年マンガで終わっていた。
「重すぎる秘密」に対するそれぞれの受け止め方の違いが、そのまま2人の愛の形だと思う。
秘密が、犠牲が重いほど半身を求める力が強くなる。そうして完全に閉じる世界を「是」とする。閉じられる幸せをかみしめろ、というように。それが作家の伝えたいところのはず。

本編ラストでもそれは伝わるがわざわざヤクザを絡めて大事にしなくても、初めの事件(1〜2話)だけでそこまで辿りつけた。(佐伯さんは好きなんだけども、笑)
後半(3〜5話)はエピソードは違えど、まるっと前半の繰り返しになってしまっている。
穿った見方をすれば単行本の原稿枚数にするために、いずれ続編が描けるよう「女」の結末をあのようにしたのかと思う。
この話は前半の日常生活の範囲内のエピソードプラス後半3話のエグリの冴え、がもっとも完成された形だった。ここでいっても詮無いことだが。

その辺りの若干のぜい肉が惜しいが、テーマの深さ、具現性は変わらない。
作者の完成された表現力とともにこの作品は、禍々しい魅力を持つ「妖刀」となった。


これを待ってた。
黒というには澄みがあり、白というには汚濁にまみれた、目をそらせない妖しい魅力。



徹底的に求めて、閉じて、消えていけ。









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[BLコミック・な行]中村明日美子 | comments(1) | trackbacks(0) |